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俺の四畳半が最近安らげない件
初めての一人部屋
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納屋として使っていた四畳半の真ん中で、雑多な荷物に囲まれて俺は一枚の紙を握りしめていた。


妻に「息子と一緒に子供部屋のレイアウトを考えてくれ」と丸投げされた。私には無理だから、と。


A4のコピー用紙に拙い字や絵を駆使して描かれた『間取り図』には、もう無茶としか言いようがない、夢いっぱいな要求が詰め込まれている。だが目をキラキラさせて俺を見上げる息子を『ダメ!』の一言で失望させたくはない。
俺は辛抱強く云って聞かせることにした。
「お前のな、初めての一人部屋に対するその…意気込み?それはパパね、とってもビックリした」
「うん!!」
息子はぶん、と誇らしげに首を縦に振った。…今年で小学2年生になるというのに、驚異的な素直さだ。こんな素直で無邪気な小学2年生はもう、この近辺には居まい。
「―――まずな、この…真ん中に描かれているコレだ」
「うん!これね、トランポリン!!」


これね、トランポリン!!じゃねぇよ。そんな叫びを噛み殺し、俺は息子の顔を覗き込むように腰をかがめた。


「…トランポリンって、すごく高く飛び跳ねるよね」
「うん!頑張ったら雲まで届いたことあるってサトくんが云ってた!」
―――うぅむ、今なんか『虚言癖の友人』という心配要素が新たに加わったようだが、追及すべきはそこではない。
「雲まで届くようなものが部屋の中にあったら…天井に頭ぶつけちゃうよね?」
「ぶつけないように跳ぶよ!てかげんして跳ぶ!」
「んー、パパねー、キミの『てかげん』は信じない♪」
そう云って、今朝のプロレスごっこで上腕の内側につけられた歯形を見せると息子はプイと目をそらした。しかもこの野郎、カワイイ顔して口ん中に『牛乳毒霧』まで仕込んで挑む本格派ヒールだ。お陰で俺の髪は朝からパリッパリである。
「……じゃあ、お部屋じゃなくてー…ベランダにします!」
「絶っっっ対ダメっ!!!」
高層マンションで一番トランポリン置いちゃダメな場所だろそれ!!こいつがアホ面さげてそこで跳ねるの想像しただけでタマがひゅんってなるわ!!
「なら、トランポリンはどこに?」
「トランポリン置かないっ!はい次っ!!」
クローゼットのある場所に、ザクザク刀やら銃やらが刺さっている様子が描かれている。何これ怖い。
「…コレ、何?中で黒ひげが酷い目に…?」
「これね!武器倉庫!!なかで弁慶が刀を守ってるの!!」
「中の弁慶、針山みたいになってないかなぁ!?」
「たちおうじょう!!」
「爺ィだな!?いらんことを教えるのは!!…あのね、クローゼットには洋服入れるからねって云ったじゃん。武器倉庫は、もう少し大きくなってからでいいだろ?」
「大きくなってからって、いつ?」
「あー…職業軍人になってからだ」
「むぅ、しかたがない…」
爺ィ
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