第48話 ユメノトビラ
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だけは、忘れないでほしい」
「……ごめん、気づかなくって」
「謝るならダンス、再会してほしいわ」
冗談じみた口調でそう言うけど、答えはもう決まっているし、向こうも悟っている。
だからこれ以上何も言わずに、綺羅ツバサは言うだけ言って、μ`sの元へと足を運ぶ。
統堂英玲奈も優木あんじゅも、彼女に続けて、だけど俺に会釈だけ残して後をついていく。
一人取り残された俺。どっと疲れが押し寄せてきたせいか、うまく立てずにそのままずるずると壁を伝ってしゃがみ込む。
そして。
───ふと、視線が脇の生ライブを見ている観客席の方にうつる。
その時は、特に何も思わなかった。
強いていえば、『あんなにも客がいるんだな』程度。
だけど、そこには確かな異質がいた。
間違いなく、俺は見てしまった。
そう気づいた時には俺は観客席を二度見してしまった。
何故......ここにいるのだろうか、考えたけど答えは出てこない。
だってアイツはアイドルなんて興味なかったはずだ。
アイツの家は、こっち方面ではないはずだ。
だから、理解できない。見知った顔、見知った容姿、見慣れた高校の制服に懐かしさを覚える。それと同時に───どうして?という感情が沸き起こる。
───視線が交錯する。
彼女は......ふっと小さく歪な笑みを浮かべてその場を立ち去ってしまった。
この行動に反応して俺はその場から走り出すのを止められない。
「────!?」
どうして彼女がここにいるのかはわからない。
追いかけて聞きたいところだけど、妙に疲れた俺の体が言う事を聞いてくれず、意識を外した一瞬のうちに、その影は姿をくらましてしまった。
「なんで……アイツがここにいるんだよ」
漸く呟いた一言。
何故……大槻未遥がここにいたのだろうか。
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