第48話 ユメノトビラ
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も、何かとても大切な事を言いたそうな間の空き方にもどかしさを感じる。
「おい」
「なんで君は……踊らないの?」
「踊らないのって、何言ってんだ?ラブライブ!は女子高生しか────」
「そうじゃなくて。なんで”笹倉大地”は踊らないのかしらって聞いてるのよ。意味わかるかしら?」
「……」
綺羅ツバサが言っていることはつまり、何故俺はダンスという道を選ばずにここでスクールアイドルのサポートをしているのか、ということだ。
「貴方には才能がある。私なんかより遥かな才能を持っているのに、それを持て余してどうして君はここにいるのかって、私はずっと思っていたわ」
「俺に才能なんてない。しかも、そのあるかどうか不明な才能とやらを磨くためにダンスを続けていたわけじゃないんだ」
「それは……持つ者の発言だわ」
綺羅ツバサは俺の事を妬んでいたんだと知ったのはこの瞬間。
昔の俺の俺を知っている数少ない知り合いの彼女は、急に俺の胸ぐらをつかみ、怒りに満ちた目で俺を壁に一瞬で追いやる。
ドン!と強い衝撃を受けて視界が明暗する。
「いい加減にしなさいよ!私がどれだけ貴方に憧れて!どれだけ貴方に追いつこうと必死に続けたのか知りもしないくせに!!」
「お、おいツバサ……今は────」
「英玲奈は黙ってて!!これは私と彼の問題よ!」
今まで見たことない、A−RISEリーダーの怒声。
周りのスタッフもμ`sも驚いて、身動きできずにこっちを見ている。そんなこともお構いなしに綺羅ツバサは続ける。
「笹倉大地という目標を追いかけて、寝る間も惜しんでダンスの事だけ考えてきたわ。それこそ、恋狂う乙女のように、いつでもどこでも!!高校生になれば、またどこかの大会で会えると信じて!だから私はスクールアイドルを始めたの!私が全国で一番のスクールアイドルの一人になれば、貴方が絶対無視しないって!反応してくれるって!」
今までの経緯を俺にぶつけるようにがなる。
俺に憧れて今まで頑張って来たのに、当の本人はダンスを辞めてのうのうとここにいる。もうそれが許せないのだ。今まで何のために頑張って来たのか、それがわからなくなってしまっていたのだから。
「それなのに……それ、なのに……」
「……綺羅、ツバサ……」
言うだけ言って、彼女は襟から手を離して、こぼした涙を拭う。
そして顔を上げたかの彼女はいつもの綺羅ツバサに戻っていた。
「ごめんなさい。ただ、それだけは貴方に言いたかったの。貴方に憧れて、頑張って今頂点に立つスクールアイドルのリーダーもいるんだってことを。それ
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