第48話 ユメノトビラ
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せる。
すでに準備を終えてステージに立つ、A−RISEの面々は余裕に満ちた表情で目を閉じている。
数人のスタッフの合図の元、A-RISEの生ライブが始まるのだ。今までにない至近距離で。
爛々と輝かせて応援するつもりもなく、ただ押し黙ってじっとライバルの力を見定めようとしているにこや花陽。
他のメンバーも固唾をのんで、先行く彼女らを見守る。
「本番30秒前です!」
一人のスタッフの声を合図に彼女らは最初の姿勢をとる。その際、俺は綺羅ツバサと視線が合ったような気がした。口だけ小さく動かしていて、何か伝えたそうな彼女の口元を注視してみる。
───思い出して
そんな一言を言い残して、綺羅ツバサは目を閉じた。
隣のの穂乃果は誰よりも真剣な瞳でA-RISEを見つめていた。相変わらずの様子が可笑しくて、人知れず微笑んでしまいそうなところを抑える。
俺は一体どんな表情で眺めているだろうか。
きっと穂乃果と相も変わらず厳しい顔で眺めているかもしれない。『5!4!……』とスタッフのカウントダウンのもと───
曲が流れる瞬間、俺たちの間に戦慄が走る。
「───っ!?」
直後に硬直。
あまりに急なA-RISEの雰囲気の変化に俺たちは飲み込まれてしまった。気、プレッシャー。そんな言葉がお似合いなA-RISEから放たれる何かに、たった一瞬でμ`sは飲まれてしまった。
何も考えさせてくれない。
そんな隙すら、俺たちに与えてくれない。
力強くも、透き通った歌声。
μ`sやそこら辺のスクールアイドルでは成し得ない、到底及ばないダンス技術。
何処を見ているのか、まっすぐな表情。
───持っていかれた。
μ`sがここまで来るにあたって掲げてきた目標というものがある。
その目標を達成するために日々の練習を本気で頑張り、この舞台に足を運ばせた。本気で……A-RISEを超えるためにここに来た。
……だけど、それでも。
───今日初めて、気持ちだけでは越えられない壁があるという現実を突きつけられた気がした。
A-RISEのライブが終わり、観客の方から歓声のような声が届く。
それをBGMに、俺たちはただぱちぱちと乾いた拍手しか、送ることはできない。
「これは……すごい」
最初に口を開いたのはことり。
続いて呟いたのは凛だ。
「直に見るライブ……かっこいいにゃ……」
「これがトップに君臨するスクールアイドルの実力」
希は声を震わせなが
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