第十九話
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………ここはどこだ。
俺は今、さっきまでいた自分の部屋ではなく、全く違うところに立っていた。
『ここは………。』
回りを見渡すと、どうやら船の上らしい。
ただ、どうやらこの船は遊覧船や漁船では無いらしい。
回りには何個もの砲門。
乗っている人々は詳しくない俺でも分かる、大日本帝国海軍の制服。
『はー、成る程な。なんかの軍艦の上か。』
となると、この船がなんの軍艦なのかが気になる所だ。
まぁ、どこかに書いている訳でもないし、誰かに聞いてみるかな。
『なぁ、そこの人。この船ってなんて名前の船なんだ?』
しかし、そいつはこちらを見ようともしなかった。
『オイコラテメェ、無視してんじゃねぇよ、あぁ?』
やはり、反応しない。つーか今のセリフに反応されてたら、船から下ろされそうだな。
『つーことはあれか、これは夢か。』
いや、本当に今さらなんだけどさ。さっきまで自分の部屋に居たのにいきなりこんなところに居たら、そりゃあ夢だ。
『ふむ、なかなか奇妙な夢だな。』
俺はそう呟きながら、腰かけていた木箱から立ち上がった。
『となると、これからどうするかな。』
ここで俺は初めて自分の服装を見た。今俺は、さっきまで着ていたジャージではなく、戦闘服だった。
『これもなんか意味があるのかな……まぁいいや。取り合えず歩き回ってみるか。』
俺は取り合えず船首の方に向かって歩き始めた。
すると、ちょうどその方向の空に、何かが見えた。
あれは…………艦載機?
『えーっと…………空襲?』
俺が気づいたすぐ後に、俺の近くの奴も叫んだ。
「敵艦載機見ゆ!前方多数!」
その後は、酷いもんだった。
ただただ敵の攻撃を食らい続けていた。負け戦ってのはこういうのを言うんだろうな。
そんな中、俺は立ち尽くしていた。
回りには何人もの死体。
ボロボロになった船。どうやら浸水も始まっているようだ。
『…………。』
俺はその地獄のような光景を見て、震えていた。
恐怖で。
戦慄で。
「うっ……………くそ…………。」
すると、俺の後ろから声が聞こえた。
振り返ってみると、そこにはまだまだ若そうな男が立っていた。男は、俺が座っていた木箱にもたれかかった。
「チクショウ…………あれだけの苦しい訓練をしてきたのに、その最後がこんなのかよ………情けねぇ。」
そいつはそのまま天を仰いだ。
俺は察した。こいつはもう長くない。
「せっかく海軍に入って………お国のためって頑張って来たのに………何も で
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