第2話 模擬戦は突然に
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、いや…まぁ……どっかで……」
頭をひねりながら記憶を辿って行くと、ついさっきの衝撃が蘇ってきた。
「まさかあんた……」
蘇ってくるのは扇情的な肢体。細く括れた腰から臀部へのラインと、しなやかに伸びる美脚。
それらが春斗の脳内ではこちらを誘うようなポーズで再生されたのだ。
「あの時の美脚の女の子??」
「なんでそんなことを覚えてるのかなこの変態は??」
「もの投げんガハァ??」
鉄格子の隙間を通して飛んで来た何かが顔面に直撃し、春斗は床に転げ回る。
気絶するほどではないが、かなりの痛みが走った。鼻が折れた感覚も無いので、大怪我ではないが、痛いものは痛いのだ。
「いつつ……人にものを投げんなって……って、救急箱?」
鼻を押さえながらぶつけられた物を見ると、それは赤十字のマークが入った白い箱だった。
「さ、さすがにISで殴ったのは、やり過ぎたかなって……」
ばつが悪そうに目をそらしながら少女はそう言った。
罪悪感を感じてくれるあたり、この子はまとものようだ。春斗の出会った中では、自分の行いが全て正しいと思い込んでいる勘違いイケメンがいるため、余計にまともに見える。
「まぁ、見ちまったのは本当だし、殴られたのも仕方ないというか、いいもの見せてもらったというか……」
「そ、そのことは掘り起こさないで欲しいんだけど??」
「はいはい、ラブコメはまた後にしてね〜」
段々とヒートアップする2人の会話を、楯無が扇子を間に差し込み遮った。
「さてさて、それじゃあバイトくん?これからあなたの処分を言い渡します」
「え、なに。俺まさかの絞首刑とかそんな感じですかね?」
「そんな物騒なことはしないから??」
瑠璃色の子が突っ込み、再び楯無が扇子を開き、口元へと持っていく。そこには先ほどとは違い、『判決』と書かれていた。いつの間にすり替えたのだろう。
「とりあえず、君にはここにいる千藤さんと模擬戦をやっていただきます」
その時、春斗の時間はほんの少しだけ止まっていた。
「「…………は?」」
そうだったのは瑠璃色の少女も同じだったらしい。
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