その名は岸田。小説家志望
夜
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cessでの開発を少しだけでも進めたほうがいいかもしれん。
「川内」
「おっ! ついに夜戦かなっ?」
俺の呼びかけに対し、川内はニッコニコの満面の笑みで振り返り、右手人差し指と中指をピンとたて、それを顔の前に持ってきていた。そのさまは、アメリカ映画でよく見るジャパニーズ・ニンジャ・ファイティング・ポーズを連想させた。なんでニンジャ? 夜戦だからか?
「違う。これからお前はプリント作成に入るんだけど」
「そうだね! 今日は何枚をカットインで撃沈できるかチャレンジだっ!」
「意味が分からん……俺もちょっとやりたいことがあるから、それを進めてもいいか?」
「それはいいけど、何するの?」
「うーん……元々の本職に近い仕事……てやつかなぁ?」
「? ……ハッ!?」
「?」
「ひょっとして……やせ」
「それはない。それだけはない」
川内の許可ももらったし、開発をちょいと進めてみようか。俺は川内にやらせるプリント数枚とAccessの参考書、そして自分の家で作ってきた仕様書(手書きでなぐり書き)を手に、川内と共に教室に戻り、席に着く。川内に持ってきたプリントを渡し、俺は自分の目の前のパソコンの電源を入れ、8.1を立ち上げた。
「んじゃ俺も作業に入るけど、分からないことがあったら、遠慮無く聞いてくれていいからなー」
「はーい」
Accessが立ち上がった事を確認し、俺は自分の作業に入った。川内も川内で、俺とほぼ同じタイミングでプリント作成に入る。
「んじゃとりあえずテーブルでも……」
自分作のなぐり書き仕様書を見ながら、テーブルを作成していった。ザッと見積もるだけでも20個ぐらいのテーブルがいるなこりゃ……足りないものも絶対出てくるだろうし……
「んー?」
俺の作業を川内が覗き込んできた。別にわからないことの質問というわけではなさそうだから、気にせず自分の仕事をすすめる。ほー……idのカラムを作る時、いちいちオートインクリメントでどうちゃらって指示をしなくても、オートナンバーって型があるのは便利だ……。やっぱAccessは今まで扱ってきたデータベースとはちょっと違うんだなぁ……インターフェース作れるんだから当たり前っちゃー当たり前だけど。
「せんせー?」
「んー?」
「難しそうだね」
「んー」
つい生返事してしまったが、特に問題はなかったようだ。しばらく俺のテーブル作成を眺めていた川内は、『うっし』と一言言った後、自分のほっぺたをパシンと叩いて、プリント作成に入っていった。
「……」
「……」
無言の時間が続く。川内の授業で、こんな静かな時間なんて、初めてのことじゃないだろうか。二人して自分の作業に集中する。
「顧客テーブル……うっし……次は講座
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