その名は岸田。小説家志望
夜
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を開くことを促した。川内がいつもの調子でテキストを開き、表の単元を探している間にOSが立ち上がる。
「せんせー、テキストのどこー?」
「第四章だ」
「はーい」
目次から第四章のページ数を確認した川内は、そのままペラペラとテキストのページをめくっていった。その間の時間が少々もったいないと感じた俺は、一度立ち上がって川内の右側に移動し、マウスを使ってWordを立ち上げておくことにする。
「お?」
偶然か? 俺がマウスを握ろうとしたら、川内がマウスの上に右手を置きやがった。おかげでマウスをつかむ川内の右手を、上から鷲掴みしそうになる。
「……にひんっ」
なんだよそのしてやったりな笑顔は……おまけにいつも以上に白い歯をキランって輝かせて……
「おおすまん。お前がテキストで第三章を探してる間にWordを起動させとこうと思ったんだけど……」
「せんせーにマウスは渡さないよ!!」
「……なんで?」
「だってこれも夜戦だからね!!」
はい。そうですね。夜戦ですね。
「だから負けられないッ!!」
「はいはい……とりあえずWordを立ち上げてくれ」
「りょうかいっ!!」
俺にマウスを操作されるのが、そんなに悔しいのかねぇまったく……こいつ、実はものすごい負けず嫌いとかなのか? それにしても、負けず嫌いの発揮ドコロを間違ってるとは思うけど。
Wordを立ち上げた川内には、そのまま文書作成に入ってもらう。今回は表の挿入にチャレンジしてもらうわけだが、そこまでのタイトルや日付に関してはも今までのやり方で十分対応可能だ。なら、こちらは何も言わず、川内にすべてを任せてしまって大丈夫だ。
「せんせー。終わったよー」
「はいよー」
「それにしても、今回作るプリントって私ぴったりだなぁ」
「俺は突っ込まない」
今回、実習で作ってもらうのは『秋の鎮守府夜戦トーナメント大会 ルール変更に関するお知らせ』というプリントだ。ルールの変更一覧を、表で見せようという魂胆の模様。……なぜよりにもよって夜戦なのか?
「んじゃ川内、カーソルを“記”と“以上”の間に持ってきてくれー」
「はーい」
「持ってきたら、『挿入』タブをクリックして、『表』てボタンをクリックだ」
「はーい。なんかマス目みたいなのが出てきた」
「そのマス目みたいなとこ、どこでもいいからマウスのっけてみ」
「んー? ……ぉおっ!?」
川内がマス目部分にマウスをポイントした途端、ちょうど文書のカーソルの位置に、挿入される表のプレビューが表示された。川内はマス目の上でマウスをずりずり動かして、プレビューの表示が切り替わっていくのをジッと観察している。
「なるほど。マス目と表が連動してるねぇ」
「おう。それで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ