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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十話 ヴァンフリート4=2 再び
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「そ、そうだな」
思わず強い口調で話した私に阿るようにクラーゼンが同意した。本来なら逆だろう、慌てふためく我々をお前が窘めるのだ。それなのに……。
「それに、これが反乱軍の罠ということも有り得ます」
「罠だと?」
キョトンとしたクラーゼンの表情に驚くよりも呆れる思いだった。この程度の事も考えつかないとは……。私が焚き付けたとはいえ、良くも宇宙艦隊司令長官になろうと考えたものだ。
「オペレータ、先程の通信だが間違いなくイゼルローン要塞からのものか?」
「それは、通信はあまり良い状態では有りませんでしたので……」
オペレータは自信がなさそうだった。事が事だ、慎重になっているのかもしれない。
「判断が出来ないか」
「はい、申し訳ありません」
言葉だけではなく真実申し訳なさそうにオペレータが答えた。やはりそうか、オペレータは確証が持てずにいる。罠の可能性が有ると見て良い。
「シュターデン少将、これは反乱軍の罠なのか?」
「分かりません、ヴァンフリートは通信の送受信が極めてしづらい星域です。反乱軍がこちらを混乱させようと偽電を仕掛けた可能性は有ります。それを想定して動かなければならないでしょう」
クラーゼンが不安そうな表情を見せた。罠の有無などどうでもよいのだ、この場合は罠が有ると考えて行動しなければならない。
「では、どうする」
「先ずヴァンフリート星域から離脱します。罠の可能性が有りますから離脱には十分な注意が必要です。そして通信の真偽を確かめます。真実であればイゼルローン要塞へ至急戻らなければなりません。偽りであれば、敵が近くにいる可能性が有ります、引っ掛かった振りをして敵を待ち受けましょう」
断定はできないがおそらくは偽電だろう。ここからイゼルローン要塞までは八日も有れば戻る事は可能だ。イゼルローン要塞を攻略するには時間が足りない。リスクが大きくそれに比べて成功の可能性は決して大きくは無い。
余りにも無謀すぎる。おそらくは我々が慌てて戻ろうとするところを後背から奇襲をかける、そう考えているはずだ。それならば十分に対処は可能だ。問題は先程の通信が事実であった場合だろう。反乱軍がリスクを理解したうえで要塞攻略を選んだとなるとそれなりに成算があると見なければならない。その成算とは何か……。
反乱軍の艦艇がイゼルローン要塞を出立後何度も接触してきた。あれはこちらの目をヴァンフリートに向けるためだったのか。こちらの目がヴァンフリートに向いている間に反乱軍はティアマト、アルレスハイムのどちらかからイゼルローン回廊に侵入した……。
「もし、通信が真実として反乱軍がイゼルローン要塞に押し寄せていた場合、要塞は我々が戻るまで持つか?」
そんな事は反乱軍に訊いてくれ、どうやって落とすのか教えてくださいと
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