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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十話 ヴァンフリート4=2 再び
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憎々しげに笑っている。酷い顔なのに可愛げのある顔と悪人面と両方が出来るのはどういう訳だろう。

「遠征軍の目的地はどちらに?」
「ヴァンフリートだ」
「ヴァンフリート……」
オフレッサーが頷いた。ヴァンフリート、胸が痛んだ。初めての敗北、キルヒアイスの喪失、あそこで全てが変わった……。

「卿も知ってのとおり、今年になってから反乱軍の艦艇がイゼルローン要塞付近に頻繁に出没している。特にここ二月ほどは酷いな。実害は出ていないが鬱陶しい存在であることは間違いない。反乱軍がイゼルローン要塞を攻略する前準備ではないか、徐々にではあるがイゼルローン回廊の制宙権の確保が危うくなるのではないかという声も上がっている」

オフレッサーの言葉に俺は頷いた。
「ヴァンフリート4=2の基地が反乱軍の戦略拠点になっている事は間違いない。今回の遠征軍の狙いは二つ、一つはヴァンフリート4=2の基地を潰す事、そしてもう一つはそれを阻止しようとするであろう反乱軍の艦隊を撃破する事だ」

おかしな考えではない、最前線にある敵の基地など厄介な存在でしかない。出来る事なら早期に排除すると言うのは当たり前の考えだ。しかしシュターデンには前回のヴァンフリートでの敗戦の雪辱をしたいという思いが有るはずだ。それをうまく反乱軍に利用されたという事は無いのだろうか。

「罠という事は考えられませんか?」
「反乱軍がこちらを誘っているという事か?」
オフレッサーが顔を顰めた。しかし意外そうな表情をしていない、つまりオフレッサーも似た様な事は考えたのだろう。敵は頻繁に艦艇をイゼルローン方面で動かし帝国を挑発している……。

「ヴァンフリート4=2の基地を巡っての攻略戦、艦隊決戦となれば前回の戦いと同じ展開になります。反乱軍がもう一度基地を利用して帝国軍を誘引しようとしている、そうは考えられないでしょうか」
自分で言っていてなんだがどうにも違和感が有る。ヴァレンシュタインが同じ戦場で同じ手を続けて使うだろうか?

「確かにその点は遠征軍の司令部の中でも検討されたらしい。だが罠と知らずに行くのと罠と知って行くのは違う。それに敵が艦隊決戦を望むのであればむしろ好都合だろうと遠征軍は考えている。何と言っても敵は基地を守らねばならんのだ、その分だけ行動が制限されるだろう」

基地を守るか……。行動が制限される……。
「反乱軍が基地を放棄するという事は考えられないでしょうか?」
「基地を放棄する? ヴァンフリート4=2の基地をか?」
「はい」

オフレッサーが手を顎にやった。顎を撫でながら考えている。俺は突拍子も無い事を言ったつもりはない。ヴァンフリート4=2の基地は存在そのものは厄介ではある。だが厄介ではあっても危険ではないのだ。あの基地の存在がイゼルローン要塞を危
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