第35話<針のムシロ>
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私たちは、いったい誰と、なぜ戦っているのか?
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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第35話 <針のムシロ>(改2)
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深海棲艦(大井・仮)は神社の境内で苦しそうにしている。しかし相変わらず捕虜になることには抵抗していた。
私は日向にだけ聞えるように呟く。
「確か軍用車のどこかに拘束用の手錠もあったはずだが……」
すると彼女は珍しく渋い顔をした。
「司令?」
「あ」
私は苦笑いした。
「いや、私は憲兵じゃないからな。それは避けたいな……と」
時おり神社の周りを陸軍の兵士が駆け足で通り過ぎる。その度に私は冷や冷やした。境内の外からは見え難いのだが、もしここに憲兵が入って来れば、さすがに今の状況は説明し難い。
「おお、そうだ!」
私は、さっきから複雑な表情で固まっている日向を振り返った。
「日向、車に戻って、この神社の周辺を見張っていてくれ」
「ハッ」
続けて指示を出す。
「あと瑞雲と協力して敵の動きも警戒だ」
「了解!」
日向は弾かれたようにサッと敬礼をした。パッと反転して……
「あれ?」
妙に嬉しそうに走っていくな。
まあ日向にとって自分が蹴飛ばした相手……深海棲艦との心苦しい対話をしているよりは外で警戒待機していたほうが良いだろう。それに陸軍の監視も出来る。一石二鳥か。
ただ針のムシロだったのは深海棲艦も同様だったらしい。
「あれ?」
日向が出て行くのを見た彼女も急にホッとしたような顔をしている。
これは意外……というか。
「なるほど」
階段に腰掛けていた彼女は「ふう」と言いながら、その長い髪をかき上げた。
「ほう」
そういえば前、夜の鎮守府岸壁でも、こんな感じで髪をかき上げてたな……ちょっと女子っぽい。
よく見たら深海棲艦も敵とはいえ、基本的な顔のパーツは美人系だ。
(いや女子か?)
おぼろげな記憶をたどると舞鶴に居た大井も、性格に難はあったが結構な美人系だった。
「いやいや、関係ない!」
私は妙な妄想をする自分の恥ずかしさを隠すように軽く咳払いをした。
すると深海棲艦は驚いたように私に視線を向けた。その視線に私は鳥肌ではなく普通にドキっとした。この落差に正直、戸惑う。
いま私を見詰めている深海棲艦の瞳。それは昨夜……月夜の鎮守府での北上のそれと、よく似ていた。
凄んでいる時の深海棲艦は、もっと眼光も鋭く、まるで刺すようだ。それでいて濁って鈍器で殴ってくるような威圧感のある瞳なのだ。
しかし……今の彼女は不思議なくらい普通の、あどけな
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