283部分:第二十三話 楓、思い出すのことその十四
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第二十三話 楓、思い出すのことその十四
「ここはだ。先に向かわせてもらうとするか」
「おいおい、おっさんよ」
「幾ら何でもそれはないな」
彼のそれぞれ左右から青紫の服にざんばら髪の血走った顔の男と白髪の僧侶を思わせる服の白い肌の男が言ってきたのだった。
「あんた一人で行ったら絶対に道に迷うぜ」
「止めるべきだな」
「ううむ、そうか?」
「ああ、そうだよ」
「絶対にそうなるな」
二人はそれぞれ話した。見れば黒髪の男は腰にやけに大きな刀がある。白い髪の男の手には細く鋭い刀が握られていた。どちらも禍々しい感じがする。
「だからここはな」
「一緒に行こうぜ」
「そうするのが一番か」
「そういうこった」
「納得してくれよ」
「そうしよう」
花房も遂に頷いた。
「それではな」
「それはそうとですが」
凛花はその二人に言ってきた。
「十六薙夜血殿」
「ああ」
黒髪の男が応えた。
「七坐灰人殿」
「何だ」
白髪の男が応えた。
「急にあらたまってよ」
「どうしたんだ」
「御二人も共に来られるとは思いませんでした」
こう二人に言うのだった。
「失礼な言葉ですが」
「まあ気が向いたからな」
「俺もだ」
二人はそれが理由だというのだった。
「それでだ。気にするな」
「仕事でもあるしな」
「仕事、ですか」
「ここには那美も一緒だしな」
「自由なようだしな」
二人はここでこんなことも言った。
「俺はそれで満足だ」
「俺もだ。肌や目の色で何ともないらしいしな」
「だからですか」
「へっ、俺はあいつさえいればいいんだよ」
「俺は来られたんだな。その東の国に」
二人はこう言ってだ。満足している顔を見せた。
「そういうことだからな」
「やらせてもらう、やることはな」
「わかりました」
凛花は二人のその言葉に頷いた。
「では。このまま共に」
「行こうぜ」
「ここでは味方になってやるからな」
二人は笑いはしない。しかし敵意も見せなかった。
そのうえでだ。五人は進んでいく。その中でだ。
「ヂッ」
「鉄之介、どうしたの?」
凛花は己の左肩にいる銀の鼠の言葉に応えた。
「何かあったの?」
「ええ、ほら」
今度は沙耶が言ってきた。
「あそこに」
「うむ、軍だな」
花房もそれを見て頷く。見れば一行の前に大軍がいる。
「蔡文姫殿達から聞いてすぐに出発したが」
「案外すぐに合流できたな」
「そうだな」
夜血と灰人も言う。
「いいことじゃねえか」
「運がいいか」
しかしであった。ここでだ。
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