282部分:第二十三話 楓、思い出すのことその十三
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第二十三話 楓、思い出すのことその十三
「まあ話はこれで終わって」
「ええ」
二人はふとここでまた言い合うのだった。
「陳花のところに行ってね」
「ええ、内政のことでね」
「それと西方攻略の後で手に入る幽州のこともね」
蔡文姫はその地のことにも言及した。
「ちゃんとしておかないとね」
「あの州もね。そうね」
「まだ決まっていないけれど袁家の統治下になるのは間違いないわ」
「我が河北袁家の」
ここで河北と断られた。ここにも袁紹の微妙な立場が出ていた。
「その為にね」
「ええ、だからね」
蔡文姫はまた言った。
「今のうちに戸籍等を調べておきましょう」
「各郡や県のことも調べて」
「劉備殿がおられるけれど州全体を管轄されているわけではないし」
「あの州は牧がおられないからね」
やはり二人も公孫賛のことは知らなかった。何処までも存在感の薄い公孫賛である。
「だから内政が滞っているでしょうし」
「余計に内政に専念しないといけないわね」
「今から準備をしておきましょう」
これが蔡文姫の主張だった。
「そういうことでね」
「わかったわ。それじゃあね」
「陳花とも話してね」
二人はこう話してその場を離れた。そして。
西に向かう者達がいた。一人は金髪碧眼に黒いその見事なスタイルにぴっしりとした服を着ている。そしてもう一人は黒いスパッツに赤と白の奇麗な上着の長い黒髪の美少女である。その二人がそれぞれ話していた。
「ねえ、凛花」
「何、沙耶さん」
「貴女とはここでも一緒ね」
「そうですね、確かに」
凛花と呼ばれた少女は自身が沙耶と呼んだ金髪の美女の言葉に応えていた。
「離天京からまた」
「ここはあそこに比べてどうかしら」
「この地はまとまっているようですが」
今は平原にいる。しかしそこには戦乱の空気はなかった。
「ただ。他は」
「随分と治安の悪い場所もあるみたいね」
「確かな大名のいない国では」
「そうね。ただここじゃ大名とは呼ばないみたいよ」
「そうなのですか」
「牧と呼ぶらしいわ」
沙耶はこう話した。
「そうね」
「そうなのですか」
「吉野殿、沙耶殿」
ここでだった。二人の後ろにいる槍を持った髭だらけのちょんまげの男が言ってきた。黒い袴に白の着物、そして緑のたすきをしている。その手には十字の槍がある。
「それはそうとでござる」
「はい、花房迅衛門殿」
凛花が彼の言葉に応えた。
「何でしょうか」
「やはり馬を貰った方がよかったのではないのか」
彼が言うのはこのことだった。
「どうも。それがしにはこれは」
「あら、歩くのは苦手かしら」
沙耶は悪戯っぽく笑って彼に問い返した。
「お武家様ともあろう方が」
「そうではない」
花
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