巻ノ九十二 時を待つ男その十一
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「そうしています」
「やはりそうか」
「我等は主従でありますが義兄弟でもあります」」
「死ぬ時と場所は同じだと誓い合ったまでの」
「そうした間柄です」
「成程のう」
「そのことは間違いありませぬ」
立花の見立て通りだというのだ。
「まさに」
「そうか、やはりな」
「ですから立花殿の言われる通りです」
「普通の主従hとは違うか」
「それと共に義兄弟であります」
「それだけ絆が強いか、そしてその絆で以てか」
「我等はことを為すつもりです」
幸村はこの決意も語った、それも強い声で。
「これからも」
「そうか、そうされよ」
「そう言って頂けますか」
「これから貴殿達と敵味方になった時は拙者も全力を尽くして戦うが」
幸村達とだ、そうするというのだ。
「しかしな」
「それでもですか」
「貴殿達の健闘、そして志が果たされることはな」
「願われますか」
「このことは敵でも思う」
例えだ、幸村達が彼にとってそうなってもというのだ。
「そうなった時もな」
「有り難きお言葉」
「そこまで強い思いがあれば拙者もそう思う、しかしな」
「しかしですな」
「貴殿達の進む道はおそらく険しい」
この見方もだ、立花は幸村と望月に話した。
「幕府につくつもりはないな」
「幕府にそれがし達の場所はないので」
「その様じゃな、どうにも」
「はい、徳川家と当家は妙に争う因縁もありますし」
このことは実は真田家が武田家の家臣であった頃からだ、とかく真田家は徳川家とは争ってきた。それも真田家が勝ってきている。
「今は浪人として九度山に入れられていますし」
「実はここにおってもな」
「はい、しかも家は兄上が継がれ」
「貴殿と家臣の者達はじゃな」
「幕府に居場所はありませぬ」
幸村達にはというのだ。
「そして実はある方とも約束がありまして」
「そのこともありか」
「それがしは誓いました」
秀次とだが彼の名前はあえて出さなかった。立花が彼とはそれ程縁が深くなかったので話に出すのもどうかと思ったし秀次のことを慮って彼の名を出すことを止めたのだ。
「ですから」
「そうか、では」
「その時には」
「では敵味方になろうともな」
「それでもですか」
「拙者は貴殿達の志が果たされることを願う」
幸村達にあらためて述べた。
「是非な、だからこそな」
「この度もですな」
「最後まで修行をさせてもらおう」
「そして六郎にですな」
「必ず免許皆伝を授ける」
そこまでの強さにするというのだ。
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