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ドリトル先生と悩める画家
第七幕その一

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                 第七幕  芸術家の苦悩 
 先生は論文を書き上げました、ですがまた次の論文にかかります。王子はそんな先生を見て言うのでした。
「今度の論文は何学のかな」
「哲学だよ」
「ああ、そっちなんだ」
「そう、そっちを書くんだ」
 こう言うのでした。
「今度はね」
「先生哲学の博士号も持っていたね」
「そうだよ」
「それで哲学の論文もなんだ」
「書いているんだ、ただね」
「ただ?」
「日本の哲学はね」
 こちらのことをお話するのでした。
「また独特でね」
「キリスト教とはだね」
「そう、関係がなかったからね」
 長い間です。
「仏教や神道の方なんだ」
「哲学に影響を与えているのは」
「そちらの宗教でね」
「また違うんだね」
「このことは前も言ったけれど」
「うん、そうだったね」
 王子も頷きます。
「先生が強く意識していることだね」
「そうなんだ、最近特にね」
「学べば学ぶだけ」
「成程ね」
「そしてね」
 さらに言う先生でした。
「論文にもね」
「そうしたことを書いているんだね」
「そうだよ」
「何か先生どんどん学者さんとしてのお仕事が増えているね」
「イギリスにいた時よりもね」
「そうなってきたね」
「そしてそれが楽しいみたいだね」
 王子は先生ににこりとして尋ねました。
「そうみたいだね」
「うん、とてもね」
「だとしたら何よりだよ。ただね」
「ただ?」
「最近あの人はどうなの?」
「ああ、大田君だね」
「とはいってもこの数日のことだけれど」
 最近とはいってもというのです。
「どうなのかな」
「やっぱり描いてるよ」
「そうなんだ」
「絵をね」
「描かないってことはないんだね」
「うん、とにかく描いてね」
 そしてというのです。
「美術館に行ったり景色を観たりしているよ」
「積極的だね」
「うん、とにかく前向きだよ」
「スランプを脱出しようと」
「本当にね」
「何かスランプの人ってね」 
 王子は腕を組んでです、こんなことを言いました。
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