第7話「正面突破」
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國……!」
「遅い」
青年の喉から、先ほどまでと同じ人物のそれとは思えぬほど冷徹な声が発せられる。
と同時に、衛兵の男もまた、糸の切れた操り人形の様に倒れた。
「やったぁ、命中です〜!」
反対側の小さなビルの屋上から、ふわり、と舞い降りる白い影。小さなアルビノの鷲につかまった、二人の少女??ツインテールの娘が減塩かずのこ。肩ほどまでの髪をなびかせた少女が綾部絵里。かずのこの手には、デフォルメされた小型の麻酔銃が握られている。どうやら先ほどの攻撃の下手人はこの少女の様だ。
「よーし、うまくいったぞう」
「……最初の茶番要りました?」
「どうせ必中なんだし、最初っから『空を切り裂く光』で撃っちまえばよかったと思うんだが」
満足気に頷く青年。その背中に、背の高い青年とくせ毛の少年がため息交じりの声をかける。
二人??江西達也と双樹兵児の声に、黒髪の青年??三國健はにやり、と笑いつつ振り向くと、
「馬鹿だなぁ。ノリだよノリ」
と応えた。
健の建てた作戦はこうだった。
まず、かずのこと絵里がどこか別のビルに陣取る。健達が衛兵の気を引き付けている間に絵里が麻酔銃を描き上げ、実体化させる。あとは健の合図に合わせて、その麻酔銃を衛兵に向けて撃つだけ??
スケッチブックのスペースの問題で、弾は二発しか作れなかった。つまり失敗は許されないのだが、見事に作戦は成功したのである。
これを成し得た理由こそ、かずのこの持つ異能??『空を切り裂く光』である。
この異能は使い手の使用する『投擲』や『射撃』と言った、いわゆる『飛び道具攻撃』に属する攻撃、そのあらゆる結果を『成功』に導く??すなわち、『必中の能力』である。
正しくは宿主の体を、『必中を必ず導くように作り変える』力であり、そのためにかずのこの視力は現実的にはあり得ない領域まで任意で上げることが可能だ。彼女が遠く離れた健のサインをしっかりと見ることができたのも、彼女が兵児とのじゃんけんで必ず勝つのもそういう事である。
一方絵里が描いた鷲がアルビノだったのは、少しでもビルからこちらの姿を捕捉されないように、という配慮である。
以上のプラン概要を脳内で再生し終えたのか、達也がため息を吐いた。
「馬鹿はそっちですよ、全く……絵里さんとかずのこさんにかかる危険性の高さをまるで度外視してるじゃないですか……まぁ、その分タイムロスなく突入できるから、異変に気付かれにくくなった、とは言えるか……」
「でしょでしょ? やっぱり僕って天才だよね。じゃっ、行こうか!」
ついてきて、と、健は仲間たちに手招きをする。「はーい!」と元気よく返事をしたかずのこが、軽快にそのあとをついていった。
流れるよ
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