二人は順調
夜
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好きな食べ物とかあるの? 神通が知りたがっててさ」
昼間の神通さんの反応を思い出す俺。彼女、ソラール先輩が自分を担当してくれると知って、花開いたかのように笑顔になったもんなぁ。
――今日もよろしくお願いしますソラール先生!
「ほーん。神通さんはあの変態太陽戦士ソラール先輩にやられっぱなしか」
「? 太陽戦士?」
「お前に負けず劣らずの変人っぷりだ。鎧兜に身を包んでるが、それぞれに作画担当ソラール先輩のシュールな太陽のイラストを載せてる」
「そうなんだ」
「太陽みたいにでっかく熱くなりたいんだと。お前そっくりだけど、そこだけは正反対だな」
「負けてられないね!!」
いや、対抗意識を燃やすところじゃないだろう……? そこは、人の振り見て我が振り直すところだろう……? 今俺の目の前で、ファイティングポーズを取りながら戦闘意欲を前面に押し出す夜戦バカは、そんな社会人として当たり前のことにも、気がついてないらしい。
「そうですね……考えてみれば、ソラール先生が好きな食べ物って何なんでしょう……聞いたことないですね……」
大淀さんがそういい、自分の顎に手を当てて考え込む。
「そなの? 確かあの人、この教室が始まったときからいるよね?」
「ええ。でもお昼を一緒に食べたりしないですから。いつもお日様の下でエストを飲みたいって言って、外出しちゃうんですよ」
その『エスト』とやらに対する疑問は尽きないが……それ以前に、大淀さんがソラール先輩の個人情報を知らないことが驚きだ。飯を一緒に食べる機会がなければ、確かに好きな食べ物の話題なんて、出ないのかもしれないなぁ。
でも、あの人なら何だって『うまい! まるであの眩しい太陽のようだ!!』とか言って、何だって食べそうな気がするけど。あの性格だし。もらったものを邪険に扱うような風には見えん。
「あの人は、多分好き嫌いはないと思うぞ?」
「そうなの?」
「おう」
「んじゃ神通にはそう伝えておくね。二人共ありがと!」
俺からはがきを受け取った川内は、そう言って俺たちに対し、屈託のない無邪気な笑顔を見せた。不思議とその時の笑顔は、暗くもなければ眩しすぎもない、見ていて温かい温度だけが伝わる、心地いい笑顔だった。
「……!?」
「ん?」
「バカやめろ……ッ」
「何を?」
口には出せん……色々とよろしくないなどとは、口に出せんッ!!
「ちなみにせんせーはさ。何か好きな食べ物はあるの?」
「俺か?」
「うん」
「そうだなぁ……」
人間不思議なもので、面と向かってそう言われると、自分の好物が何かわからなくなる。俺も不思議とこの時、頭に何も思い浮かばなくて、さっきの大淀さんよろしく、顎に手を当てて眉をハの字にして、考え
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