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大淀パソコンスクール
二人は順調

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……

「見つからないなら他のイラストでも入れたらどうだ?」

 という俺のアドバイスを受け、蚊取り線香のイラストを挿入していた。なぜ夜戦でそのチョイスなのかは意味不明だが、サイズ変更も文字列の折り返し設定も問題なし。はがき作成は、問題なく終了した。

「できたー!!」

 川内、お疲れ様でしたー。

「詰まることもなかったし、スムーズに出来たなー」
「やったよせんせー!!」
「印刷して保存しときな。俺が取りに行くよ」
「ありがと!!」

 川内が印刷ボタンをポチッと押したのを確認して、俺はプリンタの元へと向かう。がっちゃガッチャという音と共に、プリンタから吐き出されたはがきには、先ほど川内が作成した『夜戦へのお誘い』という、なんとも川内らしい力の抜けるタイトルが、力強く印刷されていた。

「どうですか? ……ぶっ」

 様子が気になるのか、大淀さんも完成したはがきを覗き込む。はがきを一目見た大淀さんは、上品に口を右手で隠しながら、プッと吹き出していた。
<i6855|34044>
「せ、川内さんらしいですね」

 ひとしきり笑いをこらえた後、やっと出てきた感想がそれだった。このはがき、確かに出来はいいのだが……いかんせん、文面がコチラの力を抜いてくる。……まさかこれが狙いってわけじゃないだろうな。こうやって、相手を油断させるのが目的ってわけではないよな……?

「まぁ……よく出来てます」
「ですね。これなら問題なく次に進めるでしょう……ぷっ」
「どおどお?」

 待ちくたびれた川内も、俺達のもとにやってくる。俺の左隣に来て、ちょっと背伸びしてはがきを覗き込んできた。

「ほれ」
「んー?」

 くっそ……こいつ、思ってる以上にパーソナルスペースが近いぞ……おれのパーソナルスペースを平気で侵食してきやがる……ッ!! しかも見ての通りべっぴんだから、普通のことをされると、それだけでもうやたらとよろしくない……ッ!?

「おっ! いい感じ!!」
「だな。文面以外は完璧だ」
「ぇえ〜! 文章これじゃダメなの?」

 読んでる人の力を抜いてくる文章がイイとは言えん。大淀さんを見てみろ。お前のはがきを読んでからこっち、笑いをこらえるのに必死じゃないか。

「ぁあ、そうだそうだ。2人にちょっと聞きたいことあるんだけどいい?」
「俺の寸評は無視かッ!?」
「はい。どうしました?」
「神通を担当してくれてる先生のことなんだけど……」

 ああ。あの、人格的には素晴らしいけど、お前に負けず劣らずの変態太陽戦士のソラール先輩か。……とは口に出せず……。その言葉を喉元で必死に堪える俺に変わり、笑いがある程度収まった大淀さんが応対してくれた。

「ソラール先生がどうかしました?」

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