二人は順調
夜
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いのだが……やはりそれではトラブルシューティング的なスキルしか身につかない。自分で文面や構成を考え、それに合致した機能を自力で選べてこそ、スキルが身についたといえる。
だからこの教室では、単元のどこかで、お手本無しで自分で一から文書を作る時間を設けてある。今日の川内がそれだ。今回の授業では、自分ではがきの文面を作成し、それに合うイラストを入れて、完成までを自力で行う。
「なんでもいいの?」
「なんでもいいぞ。好きなはがきを作れ。わからなかったら聞いてくれて構わない」
「横書きとか縦書きとかも好きにしていいの?」
「おう」
「りょうかいっ」
先ほどの意気消沈っぷりから随分とかけ離れた眩しい笑顔で、こちらに敬礼をする川内。顔がべっぴんなだけに、こんな普通のことをされると可愛くて仕方ない。川内のくせに。
「と、とりあえず作れいっ」
「?」
くっそ……こんな夜戦バカに照れてる自分が嫌だ……。
川内は俺の様子に疑問を感じつつも、はがきの作成に入ったようだ。紙のサイズをハガキに変更し、余白を『狭い』に変更する。ここまでは大丈夫。まったく問題ない。
「んーと……」
しばらく考えた後、文章は縦書きで、印刷方向は縦を選択したようだ。古式ゆかしい、日本のハガキの様相だな。
「や、せ、ん……」
そして、ほぼこちらの予想通り『夜戦へのお誘い』というタイトルを入力し、続く文面で、読む人をめくるめく夜戦ワールドに勧誘しはじめる川内。一体夜戦の何がお前をそこまでかきたてるんだ……。
『文書作成は、何はともあれまず入力を済ませる』の鉄則に従い、川内はまず入力を済ませていく。時々『んー……』と考えこみながらではあるが、Wordの授業の中でいつの間にか作文能力も上がってきたらしい。いっぱしのはがきの文面が出来上がっていた。
「せんせー、文面これでどお?」
「んー……いや、いいんだけど……」
「ふん?」
くそっ……だからその、きょとんとした顔で相槌打つの止めろって……なんかグラッてくるから……!
「いや、文章としてはまったく問題ないんだが……『過ごしやすい夜の時分に夜戦などいかがでしょうか?』ってのが、お前らしいなぁって思ってさ」
「だってさ。夏こそ夜戦でしょ!!」
あー……だからはがきの文面に『6月』って入れたのね……今は11月なのに……夜戦の旬って、6月なのね……初耳だわ〜……。そら川内も、鼻の穴を広げて水蒸気を吹き出すわー。
夜戦の旬の季節という、至極どうでもいい情報を俺に教えてくれた後も、川内のはがき作成作業は続行される。『夜戦へのお誘い』という魅惑のタイトルのフォントサイズを大きくし、フォントを毛筆体に変更した川内は、続いて本文の部分の文字を14ポイントに
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