二人は順調
夜
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」
「いえいえ。こちらはやってもらってる側ですから。ああ、それとあとひとつ」
「はい」
「そろそろ授業も問題ないと思いますので、次回の川内さんの授業からは、一人でクローズまでやってもらいたいのですが……」
そういやもう一ヶ月だもんなぁ……まぁこの間にクローズ業務は何度もやらせてもらってなれたし、そろそろ一人で担当してもいいかもしれないな。仮に授業で分からない事があったとしても、今ならすぐに探し出せる自信もある。
「わかりました。じゃあ次回からは、川内の授業は一人でやりますから」
「はい。おねがいしますね」
ニコッと微笑む大淀さんに癒やされ、俺は嵐の来訪を待つ。時計を見ると、午後7時5分前。そろそろヤツがやってくる頃なのだが……
「……!?」
突如、背中にゾクッと走る悪寒を感じた。
「何事ッ!?」
慌てて入り口のドアを見る。ドアノブがひねられている。ついに来るのか!? 来てしまうのか!? この平和な時間が、終わってしまうというのかッ!?
「……やッ!」
ドアはまだ、隙間程度しか開いていない。にもかかわらず、大きな声がドアの向こうから聞こえてくる。ゴウンゴウンという音とともに、重々しく開かれていくドア。幻覚だろうか。開いた隙間から、ドライアイスのような煙が立ち込めているのが見えた。
「……せッ!!」
今までは、自身の重みで開閉に抵抗していたドアだったが、ついに白旗を上げたようだ。限界までドアは開かれ、その向こう側にいる人物が姿を表す。このフラッシュライトのような眩しい笑顔……つやっつやのツーサイドアップの黒髪……そして何より。
「んんんんんんんんんんん!!!」
「おあああああうるさいぞ川内ッ!!」
こちらの鼓膜にクリティカルなダメージを与えてくるこの絶叫……来てしまった……川内が来てしまった……ッ!?
「せんせー!! 今晩も来たよ!! 夜戦しに来たよ!!!」
「だから夜戦じゃないって言ってるだろうがッ!!」
「ぇぇええええ!!? だって夜のパソコン教室なんだから夜戦でしょっ!?」
「夜は合ってるけどOfficeは戦いじゃないんだバトルじゃないんだコンバットじゃないんだッ!!!」
「違うの!? 夜戦じゃないの!?」
「だから違うって言っとるだろうがっ!!」
「え……ほ、ほんとに……?」
俺の全力の否定を受けた川内の顔から、血の気がどんどん引いてきた。あれだけ眩しかった川内の笑顔が消え、ギラギラと輝いていた瞳からは少しずつ確実に、ハイライトが消えていく。え……そんなにへこむことなのこれ……。
「そ、そんな……夜戦じゃないだなんて……」
血の気だけじゃない。輝きがみるみるくすんできた川内の顔は、目に見えて表情が落ち込んでいく。瞳
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