279部分:第二十三話 楓、思い出すのことその十
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第二十三話 楓、思い出すのことその十
結局袁紹は出陣した。自ら大軍を引き連れ西に向かうのだった。
「やっぱり自ら行かれるんだから」
「行っても聞かない人だけれどな」
顔良と文醜がそれぞれ馬上で溜息をついていた。
「どうしてこう陣頭指揮がお好きなのかしら」
「あたい達だけでやるっていうのに」
「自ら行かなくてどうしますの?」
その袁紹がこう言うのだった。
「このわたくし自ら行かなくて」
「政治をされたらいいじゃないですか」
「そうですよ。内政もお好きでしょ?」
二人は主にこのことを言う。その後ろには黄色い鎧の大軍がいる。見れば武器も鎧もかなり充実している。数だけではなかった。
「そちらもお仕事が沢山ありますし」
「ですから」
「無論出陣中もそちらの仕事もしますわ」
忘れられる筈のないことだった。
「しかしでしてよ」
「それでもですか」
「出陣もですか」
「その通りでしてよ。攻めますわよ」
その西をというのであった。
「私自ら」
「これで万が一のことがあったら」
「大変なんだけれどな」
二人のぼやきは続く。
「それでも水華と恋花が一緒なのは救いよね」
「全くだよな」
袁紹の側近の軍師二人も当然同行していた。
「神代もいてくれてるし」
「内政は陳花が留守番で仕切ってもくれるしな」
本拠地にいなければできないことはというのだった。
「それは救いね」
「頼むぜ、神代」
「わかっているわ」
審配は真面目な顔で二人の言葉に応える。今も袁紹の傍にいる。
「麗羽様は何があってもお守りするわ」
「麗羽様の親衛隊だしね」
「それに軍師でもあるしな」
「私は麗羽様の家臣だから」
このことは忘れないことだった。
「だからね」
「私達が前線指揮にあたるから」
「花麗や林美達と一緒にな」
「黒梅お姉様もよね」
「ええ、五人でね」
「袁紹軍五大明王勢揃いだぜ」
この二人とその三人でだった。袁紹軍の将軍達なのだ。
「それにあれよね。陳花の他にも」
「藍玉と黒檀が残ってるよな」
「ええ、あの二人も内政を担当してくれるから」
審配はその二人の名前にも頷いてみせた。
「安心していいわ」
「我が陣営は人が多くて助かるわね」
「ああ。麗羽様がどんなにムラッ気の塊でもな」
「それはどういう意味でした?」
袁紹は文醜の今の言葉を聞き逃さなかった。
「何か凄く馬鹿にされたような気がしますわ」
「あっ、気のせいですよ」
文醜はこれだけで誤魔化した。
「別に麗羽様が御自身の興味のないことは全然駄目でしかも変に子供っぽいとか騒ぎを引き起こすとか実はあまり周りを見てないとかそういうことじゃないですから」
「ちょっと、全部言ってるわよ」
顔良は彼女のその言葉
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