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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
278部分:第二十三話 楓、思い出すのことその九

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第二十三話 楓、思い出すのことその九

 そのまま気配も消えた。何処までもだ。
「消えた!?」
「一体何処に」
「行った!?」
「今日はこれで終わりじゃ」
 朧の声だけがした。
「また会おう」
「手前、逃げるのかよ」
「逃げるのではない」
 朧の声は楓のそれは否定した。
「去るだけじゃ」
「今日はほんの挨拶ということか」
 嘉神はそれだと悟った。
「そういうことか」
「そうじゃ。ではな」
 それだといってだ。気配も遠くへ行く。
「また会おう」
「朧、あの力」
「はいです」
 虎徹が示現の言葉に頷く。
「ただこの世界に来ているだけではないです」
「何かを求めてのことだ」
 示現はこのことを悟っていた。
「この世界でもまたな」
「そうじゃな。碌でもないことじゃな」
 翁にとっては言うまでもなかった。
「この世界にとってな」
「そして我々がここに来た理由はだ」
「それじゃあやっぱり」
「そうだ、あの者達の行動を防ぐ」
 嘉神は髪の色が元に戻った楓に対して述べた。
「そういうことだ」
「やはりそうですか」
「何はともあれ今は終わりじゃ」
 翁はここで話を終わらせた。
「休むとしよう」
「その通りだ。戦いはまだある」
 示現も言う。
「だからこそ今はな」
「西方ですか」
 楓はまだ辿り着いていないその場所のことを考えた。
「どういった場所でしょうかね」
「砂漠だ」
 嘉神はそこだと答えた。
「荒地だ。ここより遥かに過酷な場所だ」
「そうですか」
「そこで戦うことになる」
 こう言うのであった。
「大軍と大軍の戦いだ」
「ここに来てからそうした戦争ばかりです」 
 虎徹が言った。
「続きますですね」
「まあそうじゃな。この国はこの世界でもじゃな」
 翁が今言うのは中国のことである。
「北や西の異民族に悩まされておる」
「日本とは違うな、それが」
「全く違うのう、わしも来てはじめてわかった」
 翁は示現にこうも述べた。
「まことにな」
「そうですね、本当に何もかもが違いますね」
 楓も翁のその言葉に頷いた。
「世界も違いますし」
「それも大きいな。とにかくだ」
 最後に嘉神が言った。
「今は休むとしよう」
「そういうことじゃな。それではじゃ」
 翁が応える。そうして彼等は今は休息に入った。そうしてであった。

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