275部分:第二十三話 楓、思い出すのことその六
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第二十三話 楓、思い出すのことその六
「確かにそうした一面があるがそれと共に美しく清らかなものもある」
「そうだな、確かにな」
示現も頷くことだった。
「人は様々な顔を持っている」
「この世界の乙女達もだ。そこに美しいものを見せている」
これは容姿だけのことを言っているのではない。
「必ず。その目指すものを掴めるまでにな」
「そしてこの世界を脅かす存在にも気付くか」
「気付くだろう」
嘉神はこのことを信じていた。
「必ずな」
「左様か」
「そしてだ」
その言葉が続く。
「倒す。必ずな」
「敵はお互いではないんですね」
楓もわかったのだった。
「つまりは」
「本来天下を手に入れるものではないのじゃ」
翁がその楓に話す。
「この世界はそうじゃ」
「あの人達はお互いに争うのではなく」
「手を携えるのじゃ。世界を脅かす者達とじゃ」
「そう、それは」
「そうだな」
ここで嘉神と示現の目が光った。
「わかるな、二人共」
「迫っている」
「はい」
「感じておる」
楓と翁も二人の言葉に応えた。
「これはかなり強い妖気ですね」
「刹那にも匹敵しおる」
「夜だな」
示現は言った。
「戦うのは」
「親父殿、では夜に」
虎徹も言ってきた。
「やるですよ」
「うむ、そうするぞ」
こう話してだった。一行は休憩し昼食を採り次の休憩で夕食を食べ眠りに入った。その夜だった。
草原だった。周りには何もない。そこに陣を敷き天幕を設けてそれぞれ休んでいた。五人はそこから少し離れそのうえで待っていた。
「来るな」
「うむ」
嘉神は示現のその言葉に頷いた。
「間も無くだ」
「妖気がさらに強まっている」
「しかしこの妖気」
翁の目が強く光った。
「刹那とはまた違うが」
「禍々しいのは同じですね」
楓の目は険しい。
「何なのでしょうか」
「わからん。しかしじゃ」
「しかし?」
「明らかに只者ではない」
翁は言った。
「用心するのじゃ。これは恐ろしいぞ」
「その相手が来た」
示現は言った。するとだった。
それは小柄な老人だった。その周りに二本の禍々しい刀達が漂っている。
嘉神がだ。その彼の名を問うた。
「何者だ」
「朧という」
こう名乗ってきた。
「知っておるかのう」
「確か離天京の者だったな」
嘉神はすぐにこう述べた。
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