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レーヴァティン
第九話 別れその十

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「どうもな」
「俺もそうだな」
「それはわかる」
「だろ?下手に意地張ってもな」
 久志は英雄にここぞとばかりに話した。
「面白くないしな、人生」
「楽しむべきだというのだな」
「そうだよ、美味いもの食って飲んで遊んでな」
「女もだな」
「当たり前だろ」
 そちらもというのだ。
「面白い本も読んでもな」
「それはその通りだ、だがな」
「禁欲主義はいいがっていうんだな」
「溺れると駄目だ」
「遊んでいてもな」
「そうだ、酒も女も溺れると破滅する」
「よくある話だな」
 身を落ち崩してそれで身体を壊すか借金漬けになってしまう、世の中によくある転落人生のパターンの典型的なものだ。
「そうはなりたくないな」
「阿蘇でもだな」
「借金も病気もな」
 その両方がとだ、久志は英雄に話した。
「どっちもな」
「嫌だな」
「絶対にな」
 それこそというのだ。
「遊ぶのなら一生遊んでいたいさ」
「そう考えるならだ」
「遊ぶにしても溺れるな」
「そうなる」
「女の子と遊んでもな」
 そうした経験はないがだ、久志はあえて言った。
「それでもな」
「病気に感染したら厄介だな」
「梅毒とかな」 
 勿論エイズもある。
「そうなったら本当に洒落になっていないかなら」
「昔なら死んでいた」
 ペニシリンが世に出るまではだ、それまで実際に多くの者が梅毒で命を落としている。それは日本でも例外ではなかった。
「それも身体が腐ってな」
「酷い死に方をするんだな」
「酒も同じだ」
「飲み過ぎたら身体壊すな」
「そうなるからだ」
「酒もだな」
「そうだ、過ぎると駄目だ」
 そうだとだ、英雄は久志に話した。
「己の身を滅ぼす」
「他の遊びもだよな」
「やはり身体を壊す元になる」
「過ぎるなってことか」
「遊んでもな」
「禁欲も遊びも過ぎたら駄目か」
「どちらもな」
 そうなるというのだ。
「俺はそう考えている」
「まあそうだな、俺は禁欲主義は嫌いだがな」
 それでもとだ、久志は達観した顔になり英雄に話した。
「遊んで身体を壊したりするつもりはないさ」
「破滅主義でもないか」
「ギロチンギロチンシュルシュルシュってか?」
 おどけてだ、久志は笑ってこんな言葉を言ってみせた。
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