第九話 別れその九
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「古代で農業も牧業も収穫は少なかった」
「しかも住んでいるところが乾燥地帯か」
ゲヘナの地とその周辺だ、今もそうだが中近東の自然は厳しかった。
「おまけに周りは敵ばかりでな」
「聖書にあるな」
「ああ、アッシリアとかバビロニアとかエジプトとか出て来るな」
「他にも色々出ているな」
「あの辺り色々民族が複雑だったな」
「その中でヘブライ人達は少数派だった」
バビロニアやエジプト等の大国が周囲にあるのにだ。
「そうした環境で生きないといけなかった」
「だから禁欲主義で厳格でか」
「ああした宗教になった」
「成程な、それでか」
「その教えがキリスト教にも受け継がれ修行としてだ」
「修道院は厳しいんだな」
「そうだろう」
これが英雄の見立てだった。
「しかしこの世界はキリスト教もあるが」
「それだけじゃない、いや」
「同時に信仰されているな」
「ギリシアや北欧の神様達と一緒にな」
「そういう状況だからだ」
「あんなに極端な禁欲主義はないみたいだ」
この世界にはというのだ。
「これまで見た限りだがな」
「何かわかってきたな」
「宗教のこともだな」
「俺達の世界のそれの方もな」
「もっともキリスト教の修道院はそうした修道院もあったが」
厳格極まる戒律と生活の下暮らしている、だ、騎士団もテンプル騎士団等はそうした厳格な戒律の下にあったという。
「そうでもない修道院もあったがな」
「建前ではそうでもか」
「腐敗している修道院もあった」
「バチカンがそうだったしな」
「他人には禁欲を強制してだ」
外にはそうする、しかしというのだ。
「自分達は違っていた」
「悪いお約束か」
「そうした腐敗もあった」
「というか極端に厳しいとな」
久志は考える顔になり英雄に述べた。
「反動ってあるよな」
「その分だな」
「楽しみたいっていうな」
「欲求が抑圧されるからな」
「だからだよな」
「人間の一面にそれはある」
抑圧されればそれだけ欲求を満たしたいそれがだ。
「どうしてもな」
「そうだよな」
「俺もそう思う、極端な禁欲主義はだ」
「そうしたことも引き起こしかねないな」
「そうでもある、だから俺はだ」
「極端な禁欲主義はか」
「好きではない」
そうだとだ、英雄は久志に話した。
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