少しは妹を見習ったらどうだ?
夜
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な手間も発生しないので都合がいい。
Wordは改行を行った際に、前の段落の書式を引き継ぐ。故に書式設定を行いながら文章を入力した場合は、いちいち書式を元に戻す手間が増える。
それに、書式を設定しながら入力をしていくというのは、自分の意識を入力と書式設定の両方に向けていなければならない。それよりは、何よりもまず文章の入力を済ませてしまい、あとから書式設定に集中したほうが、出来上がりの全体のバランスを取るのも楽だ。
余計な手間が増えるのはエネルギーの無駄遣いとミスの元。ここは効率よく、かつ気持ちよく組んだほうがいい。
「入力終わったよー」
「うし。んじゃ書式設定をやりな」
「上からやってけばいいの?」
「それが一番間違いがないだろうな」
『りょうかーい』と軽い返事をする川内だが、画面を見るその目は真剣だ。キリッとした横顔でディスプレイとにらめっこし、プリントの書式設定を行っていく。クソッ……こいつは時々、こうやってべっぴんな横顔を俺に見せつけてくるから困る……。
「ねーせんせー?」
「ん? どうした?」
かと思えば今度はプリントとにらめっこをし始め、眉間がハの字の困り顔になった。賑やかな部分ばっかりに目が行くけど、よく見てたら、こいつってけっこう表情豊かなんだよなぁ。クルクル変わって、見ていてけっこう楽し……何考えとるんだ俺は。
その綺麗な困り顔のまま、プリントのタイトル部分を指差した川内が俺の目をまっすぐ見つめた。
「このタイトルなんだけどさ」
「ん?」
「このタイトル部分だけ、他の部分と文字の形が違うよね?」
「そだな」
今回のプリントは、本文や日付の部分のフォントは明朝体だが、タイトル部分はわざとゴシック体に変更してある。『フォントの変更』という操作が出来るかどうかを確認するためのものだ。だから別に、ゴシック体じゃなきゃダメだというわけではない。
「これさ、フォントはどれ使えばいいの?」
「そこはフォントさえ変更出来ていればいい。好きなフォントを選ぶといいぞ」
「とはいってもさー。私、フォントなんてよくわかんないよー」
まぁなぁ……普段パソコンを使わない人からすりゃ『フォントって何だよ』て話だよなぁ……。
「世の中にゃフォントって星の数ほどあるからな。全部は覚えなくていい。でも明朝体とゴシック体だけでも覚えておけば、フォントの大半は区別できるはずだ」
「そなの?」
「いえーす。なんでもいいから、好きな言葉を二つ入力してみ」
「うい」
俺にそう促され、川内は眉間にシワを寄せながら、『夜戦』と二回入力していた。予想はしていたことだったが、やはりというか何というか……
「入力したよー」
「ん。ちょっとマウス貸してなー」
「はーい
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