少しは妹を見習ったらどうだ?
夜
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内は目に見えてそのスピードを上げていた。おかげで今では、経験者とくらべてもかなり遜色のないスピードでタイピングが出来ている。本人の努力の賜物ってやつだ。
ちなみにこの教室では、タイピングにおいてホームポジションやタッチタイプとかは厳しく指導はしていない。なにより、そもそもそこまで細かく教えてない。『打てればいい』というスタンスを取っている。
俺もその点は賛成だ。本職ならいざしらず、タッチタイプまで初心者に要求してたらキリがない。何度でも言うが、こんなもんは打てりゃいいんだ打てりゃ。
「というわけで川内」
「うん?」
「今日はこのプリントを作ってもらう」
「了解! 今日はどんな夜戦が……」
「夜戦じゃなくてプリント作成。お前が言ってるのはデストローイで、これからやってもらうのはクリエーイトの方だ」
「そのコンゴウさん以上に胡散臭い、中途半端な英語はやめなよ」
む……こいつがこんな手厳しいことを言ってくるとは……なんかハラタツ。
「うるさいなー。俺だってちょっとふざけたいときがあるんだよー」
「だからいつでも夜戦に付き合ったげるよって言ってるじゃん」
「誰がいつデストローイしたいと言った」
俺はバインダーに挟んで準備していたプリントを川内に手渡した。プリントには、通常の書類の書式に則った文章と、その格式張った内容の硬さを幾分和らげてくれる、鏡餅ともちつきのイラストが入っている。
「えーと……」
「今回作ってもらうプリントは、『新春鎮守府餅つき大会のお知らせ』だ」
「へー……でも、まだお正月まで間があるよね?」
「いや本当にやるわけじゃないから」
フェイクだよフェイク……そんなことまで説明しなきゃいかんのか……。
「とりあえず、これ作ればいいの?」
「おう」
「そしたらご褒美に夜戦付き合ってくれる?」
「これ作って、Wordのスキルを身につけるのが、お前の目的じゃないんかい」
「了解! せんせーに夜戦に付き合ってもらうため、がんばるよー!!」
「さてはお前、俺の話を聞く気がないな?」
そうして、川内がプリント作成に入る。俺はその横で、死んだ眼差しで川内のプリント作成の一部始終を観察した。もうね。自分に覇気がないのが手に取るように分かる。
「せんせー」
「んー?」
「作る順番だけど……」
「いつものように、なにはともあれまず文章を打っていけー」
「鉄則は変わらないんだね。りょうかーい」
川内は俺の指示を受け、プリントの文章を打ち始める。よし。今日はちゃんと順番通りだな。
Wordで書類なり何なりを作る場合は、何はともあれ、まず文章を入力することに集中するのが肝心だ。書式設定は文章を入力し終わったあとで行っていく。その方が効率もよく、余計
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