少しは妹を見習ったらどうだ?
夜
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「せー……!!」
「奴が来てしまったというのかッ!?」
「んんんんんんんんんん!!!」
ドアがゆっくりと開いていき、その向こう側が顕になった。そいつは逆光の中仁王立ちして、真っ白い歯からほとばしるまばゆい輝きで、俺達を照らし瞳孔にダメージを与えてくる。
「うわッ!? まぶしッ!!?」
「こんばんもぉおおおー!! 夜戦の時間がやってきたよぉおおおおおおお!!!」
「うるせー川内!! 眩しいうるさい賑やか過ぎるッ!!!」
「せんせー!! 夜戦だよぉぉおおおお!!」
「妹を見習え妹を!!!」
「あーそういや今日から神通きてたんだっけ」
『妹、来校』の報を聞き、急に顔の表情からギラギラが抜け、フラットな表彰になる川内。妹の初来訪が気になるらしい。やはりここは妹を持つ姉といったところか。こいつは時々、こうやってタダの夜戦バカじゃない顔を見せつけてきやがるから困る。
「どうだった?」
「どうだったもクソも、お前と正反対じゃねーか!! 妹はあんなにおしとやかなのに、なんでお前はそんなにやかましいんだよッ!?」
「えー!? そっくりじゃん私達!!」
「お前のそのそっくりの概念は、どこかで上書き保存したほうがいいッ!!」
一体お前ら姉妹の一体どこがそっくりなんだが……いつの間にか普段の夜戦バカに戻ってるし……我ながらかっこ悪いことは承知だが、ブツブツと文句を口ずさみながら、俺は愛用のバインダーを片手に、川内と共に教室に入る。教室に入る寸前……
――お似合いですよ?
実に暖かい微笑みで俺を見送る、大淀さんのメガネの奥の優しい眼差しが、俺の耳元でそうつぶやいていた。どこをどう見れば、俺と川内の相性が悪くないといえるのか。会うたびに体力と瞳孔とメンタルに回避不可能かつ致命的なダメージが蓄積していくばかりだというのに。
「ほらせんせー! 早くパソコンの電源入れて、夜戦しよ!!」
「だから夜戦じゃないって言っとるだろうが……ッ」
一足先にいつもの席に座った川内が、キラッキラに輝く瞳を俺に向け、うずうずしながら俺に催促をしてくる。そのプレッシャーに気圧されつつも、俺は川内の席のパソコンを立ち上げ、OSの8.1を選択した。
さて……OSが立ち上がる間に確認しよう。先日のやせ……ゲフン……授業では、ちょうど『春の鎮守府夜戦トーナメント大会のお知らせ』のプリントが完成したところで終わった。ということは、今日は新しいプリントを一から作ることになる。
「タイピングの練習はいいの?」
「お前、家でも練習やってるだろ?」
「うん。なんでわかったの?」
「打つスピードが上がってる。本人の努力次第でタイピングはすぐにスピードが上がるからな」
「そっかー」
始めてタイピングをさせてから数日。川
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