暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
少しは妹を見習ったらどうだ?

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「今日からお世話になります。元軽巡洋艦、神通です」

 『川内妹、襲来』の報を聞いて数日後の今日、出勤した俺の目の前に、顔の作りは割と川内にそっくりなくせに、川内とは似ても似つかぬ、性格控えめな見た目超絶美人が現れた。その美人は深々と頭を下げ、俺と大淀さん、そしてソラール先輩に対し、こうやって丁寧に挨拶をしてくれた。

「神通殿、話は大淀から聞いている。ようこそ、大淀パソコンスクールへ!!」
「はい。よろしくお願いします」

 ソラール先輩の歓迎の挨拶にも、丁寧な返答を返す神通さん。この意味不明なコスプレ太陽騎士に対しても丁寧な対応をするところに、この人の人格がにじみ出ている。この人、本当に川内の妹か? 川内の方が妹なんじゃないか? つーかそもそも、本当に姉妹なのか? それすら怪しい。そう疑ってしまうほど、誠実でおしとやかな女性だ。

「ぉお〜、新しい生徒さんはべっぴんさんじゃの〜!!」
「そんな……みなさんも、これからよろしくお願いします」
「礼儀正しいいい子だね〜。どら、飴玉やろうかね」
「ありがとうございますお母さん。黄金糖、大好きです」
「あらよかったわ〜」

 そして、新しい生徒さんが若い子ということで、他の生徒のおじいちゃんおばあちゃんたちも色めきだっていた。男どもは目尻を下げ、おばあちゃんたちもまるで孫娘に接するような優しさだ。やはり若い子と友達になるというのは、いい刺激になるようだ。

「それでは授業をはじめて下さい。神通さんはExcelの習得を希望してますから、ソラール先生に担当してもらいましょう」
「はい。よろしくお願いいたしますソラール先生」
「任せてくれ。貴公の太陽となれるよう、全力で貴公を導こう」

 大淀さんの隣でY字ポーズ……なんだっけ……太よ……忘れた……を取っているソラール先輩に対し、改めて丁寧な会釈を返す神通さん。神通さん、いいですよ。変だと思ったら、ちゃんと変だと突っ込みを入れていいんですよ? そんなところで誠実さの大安売りをしなくてもいいんですよ?

 そんな風に、おれが神通さんの丁寧さに一抹の心配を抱いていたら、大淀さんが俺の隣に来て、そっと耳打ちしてくる。神通さんとソラール先輩、他のおじいちゃんおばあちゃんたちは、俺を置いて先に教室に入っていった。教室からは、ワイワイと楽しそうな声が響く。

「カシワギさん。ソラールさんは、今日は神通さんメインでつきます。Excel一回目の授業で、説明を丁寧にしなければいけませんから」
「はい」
「なので、他の生徒さんのフォローをお願いします。ソラールさんもベテランですから、他の生徒さんをおろそかにすることはないと思いますけど」
「なるほど。了解です。なんとかがんばってみます」

 『ではお願いします』と一言笑顔でそう言う
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