少しは妹を見習ったらどうだ?
昼
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さん。あのアホと比べると、理解力が段違いだ。あいつはこの前やっとこ一枚のプリントを作成できるようになったところだぞ……いやそれでも初心者としては充分早いけど。
「神通殿は優秀だ。今後の成長が楽しみだな。はっはっはっはっ」
「そんな、褒めすぎです……」
朗らかに笑うソラール先輩のその隣で、頬を赤くそめて、恥ずかしそうにうつむく神通さん。……さっきまで、ソラール先輩と解読不能理解不可能な意思疎通を成功させた人だとは思えん……あれじゃただの、普通の可愛いべっぴんな女の子じゃないか。
「……あ」
しばらく俯いていた神通さんが急にハッと顔を上げ、他の生徒さんたちと帰りの挨拶を交わし終わった俺のもとにやってくる。
「あなたがカシワギ先生ですか?」
「はい」
「姉がお世話になっております」
「あーこりゃこりゃ。こちらこそ、お世話になっておりますー」
突然の丁寧な挨拶に、こちらもつい頭をしっかりと下げてしまう。あの川内とは似ても似つかぬこの貞淑さ……あいつも体裁を気にせず、妹のこういう部分を見習ったらどうだ? 今晩あたり、ちょっと言ってやろうか。苦言を呈する大人の威厳を漂わせてやろう。
「姉がいつも楽しそうに話をしてくれますよ? 『今日もせんせーが夜戦に付き合ってくれなかったっ!!』てぷんすかしながら言ってます」
「プライベートでもそんななのか川内は……でも楽しんでくれてるなら何よりですよ」
「ええ。昨日も『こんなの作ったよ!』て、教室で作ったプリントを見せてくれました」
「へぇ。何のプリントですか?」
「タイトルに『春の鎮守府夜戦トーナメント大会のお知らせ』って書いてましたね」
「ああ、あれかー……」
「もう別々に住んでるのに、わざわざうちに来て自慢していくぐらいですから、よっぽど楽しいみたいです」
昨日の授業の時、『オリジナルで一つ作ってみろ』て言って、作らせたやつだ。そのタイトルと文面を見て、どうにも脱力したもんだよ。
「姉はあの通り賑やかですけど、ご迷惑はかけてないですか?」
「まったくですよ? 俺も楽しく授業をさせてもらってます」
「ならよかったです」
俺の社交辞令を真に受けたらしい神通さんは、ホッとしたのか、ふんわりと柔らかい笑みを浮かべていた。あのアホもこれぐらい柔らかい笑顔をすればいいのに……いつもいつも、こっちの瞳孔に致命的なダメージを与えてくる、フラッシュライトみたいな眩しい笑顔じゃなくてさ……そしてもうちょっと、妹を見習っておしとやかになればいいのにな……。
「ともあれ、今後は姉妹ともどもお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたしますね」
「こちらこそです。よろしくお願いします」
神通さんの丁寧なお辞儀に対し、俺も丁寧なお辞儀で対応。こうい
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