少しは妹を見習ったらどうだ?
昼
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日も、そう遠くはないはずだ」
「そんな……私がそんな名誉を……!」
「そのためにもまずは、このセル指定の計算式をマスターしよう!」
「はい!!」
俺の目が幻を見ているのか……ソラール先輩と神通さんの歯車は、どうもいびつなところでがっちりと噛み合ってしまったようだ。二人は暗号のような会話をしはじめ、そして二人だけのいびつなワールドを展開しはじめた。
ぁあ……やっぱり神通さんは、あのアホの妹なんだな……変な意味で。
「カシワギ先生、ちょっと聞きたいことが……」
神通さんに先ほど黄金糖を進呈していたおばあちゃん、タムラさんが困ったような顔で俺の名を呼び、右手をピラピラと動かしていた。何か困ったことが起こったのか。はいはい。すぐ行きますよー……
「どうしました?」
「えっとね先生。ここからここまでの文章の頭に、黒丸の記号をつけたいんだけど……」
「ぁあ、箇条書き設定を使ってあげましょ」
「そうそうそれそれ。どこクリックすればいいんだったっけ?」
タムラさんの眉間のシワは一向になくならない。俺は胸ポケットからボールペンを取り出し、それで箇条書き設定のボタンを指し示す。その途端にタムラさんはパアッと明るい笑顔になった。
「ここです。これが箇条書き設定です」
「あーそうだったそうだった。先生ありがとう」
「押す前に、設定したいところを選択することを忘れないでくださいねー」
「はい先生―」
俺がタムラさんの箇条書き設定にかまけている間に、ソラール先輩と神通さんの授業は第二フェーズに移行したようだ。ソラール先輩の指示の元、神通さんがエクセルで小さな表を作っている。動きはたどたどしいが、マウスの動きそのものはしっかりしている。頼れるパソコンの先生が……ソラール先輩が横にいるという安心感が、きっと神通さんの操作から迷いを取り去っているんだ。俺も、あんな頼りがいのある先生になりたいなぁ……。
――貴公もきっと、太陽の戦士になれる!!
不意にソラール先輩の声が聞こえた気がして、俺は神通さんとソラール先輩を見る。『旅行代金見積もり表』という表を作っている神通さんの隣で、ソラール先輩は、俺のことをじっと見ていた。二人の授業を見学する俺の視線に気付いたのか。今日もバケツ兜をかぶっているので分かりづらいが、ソラール先輩のその眼差しは、俺に対して熱いエールを送っているように見えた。
――結構です
――貴公……
すみません。正直、太陽の戦士ってよく分かりません……しかし我ながら驚きだ。視線とテレパシーでソラール先輩と会話が出来るとは……
そうして時間は過ぎていき、神通さんが旅行代金見積もり表をきちんと仕上げたところで、お昼の授業は終了となった。さすがすでにパソコンを使っている神通
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