273部分:第二十三話 楓、思い出すのことその四
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第二十三話 楓、思い出すのことその四
「水華と恋花はもっと大変だけれどね」
「軍師二人は」
「っていうかあの二人よくあの姫様に忠義尽くすよな」
「あれだけ振り回されてるのに」
「というか我儘でムラッ気がなかったら麗羽様じゃないし」
「あれで家臣思いでお優しいし」
袁紹の意外な長所である。
「劣等感もあったりしてそれがおかしなところになったりしたりもしてるけれど」
「基本的にはいい方でしょ」
「ああ、それはな」
「その通りですね」
ドンファンもジェイフンもそれには頷いた。
「悪い人じゃないな」
「領民を大切にしますし」
「烏丸の民だって万全かつ公平に統治されるしね」
「そういうところはいいのよ」
「ただ。多分にお馬鹿だからな」
「興味がないことは絶対にしないしね」
そうしたところが袁紹の問題点なのだ。
「それでも悪い姫様じゃないからな」
「僕達もいるし」
「そして俺達もだな」
ケビンが笑顔で言ってきた。
「この世界でもやらせてもらうぜ」
「わしのこの腕、見るがいい」
坂田も言う。
「老いていてもそれは鈍ってないぞ」
「ええ、それじゃあね」
「期待させてもらうからね」
こうして袁紹陣営にもまた人が加わった。そうしてであった。
楓達は既に西に向かおうとしていた。先遣隊というわけである。ここで嘉神が不意にこんなことを言ってきたのであった。
「紫鏡が死んだ」
「そうだな」
「揚州じゃったな」
彼のその言葉に示現と翁が応えた。
「刺客として死んだか」
「あ奴らしいのう」
「しかしだ」
嘉神はここでまた言った。
「あの者がただ一人で何かをするとは思えぬ」
「では。やはり」
「裏におるか」
「それで間違いない。それに」
その言葉を続ける。
「烏丸も同じじゃな」
「気付いておったか」
翁は嘉神の今の言葉に笠の奥の目を光らせた。
「流石じゃな」
「何かがなくてあそこまでの大乱は起こりはしない」
嘉神は言った。
「それも突如起こり突如終わった」
「常世か?」
示現はその可能性を考えた。
「それでは」
「親父、それだったら大変です」
虎徹はそれを聞いて言った。
「刹那がこの世界に来ているです」
「間違いなく来ている」
嘉神は虎徹に対しても話した。
「さもなければ我等が揃ってこの世界に来ていると思うか」
「そうですよね」
楓はここでようやく口を開いた。
「やっぱり。来ていますよね」
「そうだ、だが何処にいるかだ」
嘉神が考えるのはこのこともだった。
「何処に潜んでいるかだ」
「そうじゃな。やがてわし等の前に出るにしても」
翁も言う。
「何処に潜んでおるかじゃ」
「そして刹那だけではない」
示現は他の
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