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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜 Another
第2話 「これからの居場所」
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促してくれた。好意を無駄にするのも悪いので、俺はアリシアと一緒に中に入る。
 ……装飾は違うけど、やっぱり俺の知る間取りと同じだな。
 と、しみじみとした感想を抱いた直後、女性に奥に進むように指示される。
 指示通りに進むと、リビングへと到着。置いてある家具が俺の知るものより可愛いものになっているせいか、凄まじい違和感があった。

「ソファーに座って待っててください。すぐにお茶を出しますから」

 思わずお気遣いなくと言いそうになったが、女性はそれよりも早くキッチンへと向かってしまった。追いかけてまで言うのもあれなので、言われたとおりソファーに腰掛けて待つことにする。
 アリシアは女性が優しそうな人だと分かって安心したのか、俺の隣に座ると室内を見渡している。大したものは置いてないように見えるが、魔法世界出身の彼女には珍しいのかもしれない。
 ……分かってはいたけど、やっぱり別の世界なんだな。
 両親やはやて、義母さん達の写真が飾ってあった場所には何も置かれていない。
 自分の存在していない世界に行くという話を聞いていたはずだが、やはり俺にとってあの人達との思い出は大きなものだったようで、喪失感や孤独感が混じった感情が芽生える。
 そのとき――。
 不意に小さな手が俺の手を握った。
 室内にいる人物や距離感からしてこのような真似ができるのはひとりしかいない。
 意識を向けてみると、予想通りアリシアが俺の手を握っていた。彼女の顔を見る限り、どうやら心配されるほど暗い顔をしていたらしい。

「大丈夫?」
「あぁ……少し思っただけだよ。本当に別の世界に来たんだなって」
「そっか」

 アリシアは簡潔な返事しかしなかった。けれど彼女はとても優しげに笑って、俺を励ますように、慰めるように頭で撫でてくる。
 恥ずかしさもあったが、アリシアの顔や手から伝わってくる温もりは心地良いものだった。
 胸の中にあった負の感情も少なからず和らいだ気がする。それと……ほんの少しだけお姉さんっぽいと思った。

「お待たせしまし……」

 テーブルにお茶を並べていたリニスさんの顔は固まる。直後――

「ど、どうされたんですか。もしかして頭でもぶつけましたか!?」
「ああいや、大丈夫です。この子がお姉さんぶりたいだけなので」
「ちょっ、それはひどくない。暗い顔してたから……!」
「その話はあとで聞いてやるから」

 アリシアの頭を軽く叩いて黙らせ、女性に話を進めてほしいと目で訴える。こちらの意思を理解してくれた彼女は、向かい側のソファーに座りながら口を開いた。

「そうですね……今後のことを話す前にまずは私の紹介から。はじめまして、私はリニスと言います」
「あ……お姉さん、わたしが飼ってた山猫と一緒の名前なんだ」

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