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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜 Another
第1話 「異なる世界」
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は、この世界のプレシアが蘇らせようとしているアリシアではない。見た目や記憶は同じでも異なる存在だ。
 アリシアがプレシアに会えば……事件にならずに終わる可能性もあるかもしれない。
 だが、この時期のプレシアは精神を病んでいる節もある。下手をすればこの世界のフェイトの扱いが悪化しかねない。この時代の過ごし方は今後のフェイトに大きく影響するところだ。迂闊な真似はできない。たとえ今このとき辛い想いをしているとしても……。

「そんなこと……結構重要だと思うけど、まあいいや。わたしのほうがお姉さんなんだし、ムキになっちゃダメだよね」
「何をブツブツ言ってるんだ? 行く宛てとかなかったらかなり困ると思うんだが?」
「ノープロブレム! そのへんはきちんと用意されているのですよ。神様も送り込んで終わり、みたいな冷たいことはしないんだから」

 俺があの空間で出会ったのはアリシアだけだ。神様がどうのと言われても反応のしようがない。
 まあ、今の口ぶりと流れを変えれるかどうかは俺達自身ということからして、神様が手伝ってくれるのは俺達がこの世界で過ごすための準備だけなんだろうな。
 そんなことを考えながらアリシアの後を付いて行って街へと繰り出す。
 景色を見た限り、俺の知る町並みと大した差はない。故にここに自分を知る人間がいないという現実が辛くもある。
 自分から望んだこととはいえ、ここには両親はおろか義母さんもいない。それはつまりファラ達も存在していないということだ。
 今の俺は、俺という存在が居た世界の俺のコピーのようなもの。
 俺の記憶の中にいる人々は悲しんでいたりはしていないだろうし、騒がしくも楽しい日々を今も過ごしている気がする。
 俺は……いったい何なんだろうな。
 この問いに答えを出せるのは俺と……目の前にいる少女だけだろう。
 しかし、彼女との関わりは現状ではないに等しい。そもそも、俺が俺のコピーといった発言をしたのは彼女だ。彼女の中で俺という存在はそれなのだろう。

「えーと……ここを右? それともひとつ先なのかな?」

 考えてしまっても仕方がないと思い視線を前に戻すと、何やらアリシアが地図と睨めっこしていた。彼女の表情からして上手く地図を読めないらしい。
 まあ無理もないか。
 アリシアは地球で過ごしたことなんてないわけだし、俺の知る世界では5歳頃に亡くなっていた。見知らない土地の地図を上手く読めというのは難しい注文だろう。

「ちょっと見せて」
「え……わぁッ!?」

 アリシアの肩付近から覗き込んだ直後、彼女は慌てた様子で俺から距離を取る。何やら顔が異常なまでに真っ赤になっているが、いったいどうしたのだろうか。

「い、いきなり近づかないでよ。びっくりするじゃん!」
「あぁ……悪かったよ。け
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