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外伝
外伝《絶剣の弟子》EX
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ったが、この騒動の着地点は未だに分からない。次はその辺だ。

「…………」

 活動出来る時間には限りがある。ここは多少無理をしてでも効率的に情報を集めなければならない。
 車椅子を反転させると、談話室の対面にあるナースセンターから目的の人物を呼び出して貰う。目的の人物は10分でやって来た。

「……まだトイレ以外で病室から出る許可は出ていないが?」
「細かいことは気にすんな」

 そいつはそれ以上何も言ってこない。医師・水城雪羅は母親だが、それ以上に互いに命の恩人でもある。しかし、死にかけた理由はこの母親にあるので貸し借りの話なら俺の方が僅かに貸しがある。
 頼みがあるという名目で呼び出した以上、俺の要求を聞く義務がこいつにはある。

「メディキュボイドを使いたい」
「無理だ。お前の頭はーーー」
「嘘だな」

 確かに、全身は痛むが以前と違い活動の限界時間が来るまで頭に内部的な痛みは無くなっていた。少なくとも脳はフルダイブに耐えられない状況では無いはずだ。

「……それでも無理だ。お前じゃない、機械が耐えられない」
「壊れる訳じゃ無いだろう。トライアル機で構わない、使わせてくれ」

 沈黙。これが相当に無茶な要求だとは分かっている。分かっているが、この無茶を通せる可能性があるのは水城雪羅のみだ。

「…………はぁ。ゲームは1日4時間までだ」
「十分だ」

 3日、12時間もあればツールに関しては足りるだろう。後は諸々やることがあるが、まあそれはそれだ。

「だが、今日はダメだ。急には用意できない」
「……分かったよ」

 少し不満だが、焦ることでもない。準備もまだあるこだし、今日のところは大人しくしていよう。
 少し疲れたように去っていく母親を見送った後、少しだけ談話室のテレビを眺めてから俺も病室へ戻る。すると、嫌がらせのように同じ部屋の目の前のベッドで入院している姉が起き上がっていた。

「…………」
「…………」

 互いに指で首を切る下品なジェスチャーを交わして挨拶を終えても、未だ微笑を浮かべてこちらを見る姉。
 仕切りのカーテンを閉めようとし、それに対して向こうがわざとらしく咳払いをするので、仕方なく問いかけた。

「……何の用だ?」
「そろそろ機嫌を直して欲しいなぁって」
「別に不機嫌でも無ければ怒ってもない。あんたとは分かり合えないから、関わらないようにしてるだけだ」
「あら、目が合う度に挨拶はしてくれるじゃない」
「アレが挨拶なものか。頭沸いてんのか」

 日本じゃなきゃその場で殺し合いが始まってもおかしくない手振りだ。それでも姉は何故か嬉しそうにそれを返して来る。

「私はあなたに負けたわ。だからもう、あなたに不利益なことはしないし、力になれる
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