何でも太陽と夜戦で片付けようとするのはやめろ
昼
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
「たとえば曜日や十二支、甲乙丙などのように、意外なものがオートフィルで連続入力可能だ。まるで子供の疑問に即座に答えてくれる、太陽のように偉大な機能だ」
「ほー……ではこれはどうだろう……」
俺はソラール先輩がどのように生徒さんにレクチャーしているのかが気になり、二人の画面を背後からこっそりと覗き見てみることにした。生徒さんのおじいちゃんはA1のセルに『A』と入力し、右に向かってオートフィル操作をしていた。
「あり。アルファベットはできないのか……」
「ああ。干支や甲乙丙が出来るのならこれも出来そうだが、意外なことにアルファベットはオートフィルでは入力できない」
「こりゃ残念」
そうなんだ。実は俺にとっても意外だったのだが、Excelのオートフィルでは、アルファベットの連続入力は不可能なんだ。むりやりオートフィルをかけようとしても、すべてのセルに『A』が入力されてしまう……プログラマー時代、これに何度悩まされたことか……嘘だ。こんなんキーボードで打てば済む話で……なんて思っていたら。
「モチヅキ殿、オートフィル入力というのは、実は事前にExcelに連続データを登録してやらなければならんのだ。逆に言えば、オートフィル入力できるようにしたいデータを登録してやることで、どんな連続データもオートフィルで入力できるようになる」
なんだと? そんな話は初耳だぞ? オートフィルできるデータをこっちで任意に登録なんて出来るのか!?
「ほえ〜。そうなのか」
「ああ。だから例えば……」
そういい、ソラール先輩はB3のセルに『太』という文字を入力した、その後生徒のモチヅキさんに対し、そこからオートフィルで右にずりずりとドラッグさせる。まさかこの男……
「『太』、『陽』、『賛』、『美』」
<i6851|34044>
「太陽賛美ッ……!!」
やりやがった……! 今、モチヅキさんの隣で気持ちよさ気にY字ポーズを取っているソラール先輩は、いちいちそんなもん登録しなくていいであろう連続データ『太陽賛美』をわざわざExcelに登録していたというのか……!?
「これは便利だね!!」
「ああ。まるでそのぬくもりと光で俺達に恵みを与えてくれる太陽のような機能……それがオートフィルっ!!」
「まさしくお天道様ッ!!」
「これでモチヅキ殿も太陽の戦士っ!!」
気を良くしたらしいモチヅキさんは、立ち上がってソラール先輩と同じY字ポーズを取っていた。俺は、そのポーズの名前をなんとかして思い出そうと2秒だけ努力したが、2.5秒後にはすでに諦めていた。
こんな具合で、授業は何事もなく(?)、滞りなく進んでいく。途中、
「カシワギ先生、『コピーして貼り付け』ってどうやるんだったかな?」
とい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ