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ドリトル先生と悩める画家
第六幕その十

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「本当にいい街だよね」
「そうだね、大阪はね」
 先生もこう言うのでした。
「日本でも屈指の楽しい街だよ」
「本当にそうだよね」
「あんないい街そうないわよ」
「どの国もない街よ」
「何もかもがね」
「その通りだね、さて」
 ここで先生はあらためて言いました。
「思ったことだけれど」
「その大阪がきっかけになるか」
「太田さんのスランプを抜け出すそれになるか」
「それね」
「そうだよ、どうかな」
 こう皆に尋ねました。
「果たして」
「うん、どうだろうね」
「ひょっとしてと思うけれど」
「駄目かなとかも思ったり」
「わからないわね」
「そうだね、ならないかもしれないけれど」
 スランプ脱出のです。
「けれどね」
「なるかもしれない」
「そうでもあるのね」
「どう転ぶかはわからない」
「ひょっとしたらね」
「そう、なるかもしれなくて」
 そしてというのです。
「ならないかもね」
「何か不安定ね」
「どうにも」
「そうなのね」
「うん、しかも彼のスランプはお天気が関係してみるみたいだけれど」
 前のスランプは梅雨で今は冬だからというのです。
「曇りだとよくないみたいだけれど」
「日本の冬も曇り多いわね」
「それは何処でもみたいだし」
「そう考えると大阪でも?」
「あまり効果は期待出来ないかも知れないのね」
「そうかもしれないね」
 実際にというのです。
「やっぱりね、ただね」
「それでもだね」
「効果があるかもしれない」
「そこはわからないから」
「やってみるんだね」
「何もしないよりも」 
 こうも言った先生でした。
「やってみることだからね」
「まずはだね」
「何かをしてみる」
「何もしないよりは」
「動くべきってことだね」
「太田君もそうだね」
 その人ご自身もというのです。
「動いているね」
「うん、描いて美術館に行って」
「梅雨や雨でも景色を観て」
「そうしているわね」
「いつも」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「その辺りはわからないにしても」
「やってみるんだ」
「大阪に行ってみる」
「そうするんだね」
「僕達が行くんじゃないけれどね」 
 ふとです、先生はこのことも言いました。
「そうだね」
「あっ、太田さんの問題だから」
「太田さんご自身が行くんだ」
「あの人がスランプだから」
「だからだね」
「そうだよ、太田君がね」 
 その人がというのです。
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