265部分:第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその九
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第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその九
「常世が出たみたいな」
「アンブロジアが復活したらそうなるのか?」
王虎は真っ先にその状況を考えた。
「やはり」
「そうだな。それだな」
十兵衛もそれだと話した。
「そうした世界なのだろうな」
「ううむ、面妖な」
狂死郎は首を捻っていた。
「予知夢にしては奇怪であるな」
「というよりかね」
荀ケもいる。小柄だが酒をどんどん飲んでいる。大酒飲みで知られている覇王丸がその彼女の向かいからこう言ってきたのだった。
「随分飲めるんだな」
「そうかしら」
「酒好きか?」
「ええ、大好きよ」
にこりと笑って覇王丸のその問いに答えた。
「これだけは止められないの」
「そうか。こう言ったら悪いが人は外見に寄らないな」
「それは貴方もでしょ」
「俺も?」
「話は聞いたわ。立派ね」
覇王丸に対しての言葉である。
「恋人の人をあえて振り切ってって」
「よしてくれよ、その話は」
不敵に、だが寂しさも交えさせての笑みでそれを遮った覇王丸だった。
「俺の選んだ道だから」
「私男嫌いだけれど」
荀ケはこのことは断った。
「けれどね。貴方やここにいる他の世界からの人達のことは認められるわ」
「認めてあげるじゃねえのかよ」
「言い換えるわ。認めさせてもらうわ」
謙遜になっていた。
「私にはそこまでできそうにないから」
「だからか」
「覇王丸、特に貴方にはね」
また覇王丸を見て言うのだった。
「その剣にかける心、見事よ」
「そりゃどうもな」
「だから。頼りにさせてもらうわ」
そしてこうも言うのであった。
「貴方の心と剣をね」
「ああ。じゃあ今日は飲むか」
「とことんね」
不敵な笑みを浮かべ合っての言葉である。
「飲みましょう」
「よし、容赦はしねえぜ」
「こちらこそね」
「凄いね。あの男嫌いの荀ケさんを認めさせるなんて」
許緒は酒よりも料理をたいらげながら二人のやり取りを見て驚いていた。
「覇王丸さんも」
「そうだな、覇王丸殿の心を認めたからこそだ」
「覇王丸さんの心を」
「あそこまで至ることは容易ではない」
その剣一筋に生きることはだというのだ。
「そうそうできるものではない」
「けれど荀ケさんだって華琳様のことを好きなんでしょう?」
「覇王丸殿にとってあの方はその曹操殿と同じだったのだ」
「その人を振り切ってなんだ」
「そのうえで剣を選んだのだ。あえてな」
「ううん、僕まだよくわからないけれど」
それがわかるにはだ。許緒はまだ長かなかった。だからである。
「それでも。凄いね」
「そうだ。覇王丸殿の心」
鷲塚はその覇王丸を見ながら述べた。
「それを蔑むことも貶め
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