第4章:日常と非日常
第108話「科学者の来訪」
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「いやはや、やはり会ってみた方が面白いと言えるな。」
「ドクター、これからはそういう事はお控えください。気づかれれば危険ですよ。」
「善処するよ。」
研究所に戻ったジェイルは、ウーノにそう返す。
「...しかし、まぁ、興味深い事もあった。」
「...はい?」
「いや、彼の性質が少しばかり見えたのでね。」
少し真剣味を帯びた表情になったジェイルに、ウーノも真面目に聞く事にする。
「彼は小さな“可能性”を掴む事を得意...いや、能力としているようなのだよ。」
「可能性を...ですか。」
「ああ。為したい事象を実現できる確率が、0%でない限り、その可能性を掴み取れるという、凄まじいものだよ。そして、現実に0%はありえない。つまり、理論上彼は何事も為す力を秘めている事になるのさ。...飽くまで理論上だがね。」
「それは...。」
例え理論上なだけだとしても、凄まじいとウーノは理解する。
「だけど、忘れてはいけない事がある。...小さな可能性を掴むという事は、他の可能性を潰すという事でもあるのさ。力には当然リスクも付いてくる。強大な力であればあるほど、それに付随するリスクは大きくなるのだよ。」
「...だとすれば、彼は一体どんなリスクを...。」
「さぁ?詳しくは分からんさ。だけど、彼をあそこまで強くしたのには代償があるだろうさ。...ないのだとすれば、それこそ“可能性”を司る存在程でなければね。」
「......。」
“どこまで識っているのだろう”と、ウーノは自身を造った相手ながらそう思った。
「それはそうと、地球は...と言うより、海鳴市だったか?あの街は住み心地が良さそうだね。翠屋での料理も美味しかったし...ふむ、“これ”さえなければ、あそこにでも住みたいものだ。」
「...残念ながら、それは...。」
「分かっているさ。」
ジェイルが指す“これ”とは、頭に仕掛けられた爆弾である。
手術で取り除こうとすれば気づかれ、電波などで破壊しようとすればジェイルごとやってしまうという、中々に厄介な代物である。
「では、私は課された仕事に戻るとしよう。君は妹たちの世話でもしてくれたまえ。」
「分かりました。」
切り替え、それぞれやる事に戻る二人。
部屋に残ったジェイルは、ふと先程の自分の言葉を思い出す。
「詳しくは分からない...ね。まぁ、彼とあの二人の様子を見れば、大体予想はつくが...これだけでは軽い気がするんだがね。」
優輝があそこまで強くなった代償。
それは、予想したジェイルも苦笑いするようなもので...。
「...差し詰め、“自分から惚れる可能
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