第4章:日常と非日常
第108話「科学者の来訪」
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ウーノさんの言葉で帰る事になる。
「あ、お金...。」
「安心したまえ。ちゃんと用意してある。今回はこちらから誘ったようなものだから、私の奢りとさせていただくよ。」
「...助かるよ。」
今回の事で、彼が悪人ではない事がわかった。
そのため、僕の口調も砕けた感じになり、椿と葵も警戒を解いていたからな。
...変人という分野では、最後まで警戒は解けなかったが。
「では、縁があればまた会おうか。」
「ああ。そうだな。」
捕まえはしない。悪人ではないし、何より相手は天才だ。対策もされてるだろう。
しかも、管理局の上層部も関わっているとなれば、迂闊に手を出せない。
おまけにお忍びらしいから、これ以上動向を知られるような事はしたくない。
知られると爆破されるらしいからな。
「じゃあ、僕らも帰るか。」
「そうね。」
「あたし達、蚊帳の外だったねー。」
僕らも今度こそ家に帰る事にする。
「しかし、まさかアロンダイトの製作者だったとはな...。」
「今では宝の持ち腐れのようね。」
「そうだねー。」
ジェイルの話にはなかなか有益な情報もあった。
例えば、織崎が持っているアロンダイトだ。
あれはジェイルが作った最高傑作のデバイスで、忠義の騎士が使っていたもの。
使用者に合わせて成長するらしく、ジェイル曰くかつてはもっと強かったらしい。
つまり、織崎では未だに宝の持ち腐れという事だ。
「(忠義の騎士、仕えていた盟主ね...。)」
忠義の騎士に関する事で色々聞かせてくれた。
騎士の名前や、仕えていた主の名前。
...あのおとぎ話に導王の子供時代に憧れていた身としては興味深いものだった。
「...楽しかったかしら?」
「ん?...そうだな。ジェイルの話は興味深いものが多かったからな。次元犯罪者という立場がなければすぐにでも連絡先を交換していたさ。」
「色々複雑みたいだからねー。」
立場上、僕は管理局側の人間で、ジェイルは次元犯罪者だ。
そのため連絡先を交換する事もできない。...その代わり見逃したけどな。
「人手不足に裏での犯罪行為...。管理局って...。」
「...人の上に立つ組織なんて、そんなものよ。」
「まぁ、そうなんだけどさ。」
僕だって導王時代の時にそれで苦労したものだ。
不正や悪事など、取り除いても湧いて出てくる。
その挙句の果てが、シュネーの惨劇なのだから。
「世知辛いのはいつの時代も変わらない...か。」
「まったくだね。」
「そうね。」
僕の言葉に、三人で苦笑いした。
=out
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