第4章:日常と非日常
第108話「科学者の来訪」
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裏では、違法の研究もしているだろうし...。予想できる事とはいえ、笑えないな。」
「全くだ。好きに研究させてほしいものだよ。」
そう言って苦笑いするジェイル。
...どうやら、根っからの悪人と言う訳ではなさそうだ。...変人だが。
嘘も言っている様子はなく、椿と葵に目配せをした所、同意見のようだ。
「しかし、“予想できる”とは?」
「そりゃあ、権力を一か所に集中させていればな。法を作り、法を執行し、政治を行う。それらを一つの組織がすれば、当然不正が発生する。」
「なるほど。この国には三権分立という権力を分ける方法を取っていたね。だが、それでも問題は起きる事から考えれば、当然の事か。」
この世界に来るのに少し勉強しておいたのだろうか、まさか知っているとは。
「...っと、話を戻すぞ。こちらからも聞きたい事があるからな。」
「おっと、そうだったね。私から聞いてばかりでは申し訳ない。」
話の軸を戻し、今度は僕から聞く事にする。
「店に入る前に言った事、それと“生まれ変わり”...ジェイル、お前の“前世”がどんなものだったか、少し聞きたい。」
「ふむ、前世に関してか...。」
少し気になった事だ。
彼程の天才であれば、何かしら歴史に残すような事をしていると思うが...。
「今から数えれば、遥か1000年も前の事さ。生憎、私がいた国は歴史に残らない程跡形もなく滅ぼされてしまってね。今では僅かな文献と当時の事を表したおとぎ話ぐらいしか残っていない程なんだよ。」
...おとぎ話か。あの“忠義の騎士”の話を思い出すな。
そういえば、導王の時に見た忠義の騎士に関する文献で、その騎士の剣を作った人物は“J”から始まる人物だと記されていたような...。まぁ、掠れて読めなかったが。
...まさか。
「...“忠義の騎士”...。」
「まさか、そこに行きつけるとはね。そう!かの騎士の剣を作ったのはこの私なのだよ!いやはや、あれは当時の私の最高傑作でね、今の時代でも超高性能と言える程の代物なのだよ!」
「お、おう...。」
ここまで食いついてくるとは思わなかった...。
ジェイルは捲し立てるように当時の事を話し始めた。
「...ドクター、注文の品が来ました。」
「おっと、つい話し込んで忘れていたよ。こちらも楽しまなくてはね。」
士郎さんが注文の料理を持ってきたので、一度中断して食事とする。
この後、お互いに前世(僕は前々世だが)の事で話し合い、盛り上がった。
「...ドクター、そろそろ時間です。」
「ふむ、もうそんな頃合いか。では、そろそろお暇しようか。」
一時間以上話し込み、
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