第18話『亡霊の悪鬼〜テナルディエの謀略』【Aパート】
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、注意を促すヴァレンティナ。彼女は議会進行役に徹するつもりらしい。先ほどの嫌味など意に介さず。
「では始めます――『東』と『西』、『ヴァルバニル』と『ジルニトラ』、『アリファール』と『エクスカリバー』……数多の輪廻が織りなす『ウロボロス会議』を」
時刻は午前11時00分。
三つの針が独自の役割を果たす『壁掛時計』が、今の置かれた事象を告げている。
そして――残された時間はあと『わずか』だということも――
数時間後―――
渡された資料をシーグフリードは読みふけっていた。特に記事の内容に興味があるわけではない。ただ、突っ立っているのも、そこの御老体たちの話も、女狐の話も飽きていたからだ。
規律的な大きさにそろえられた真っ白な羊皮紙――『複製用紙』という、独立交易都市の商品から作られたものを、何枚もすり替えながら読んでいた。
「フェリックス=アーロン=テナルディエ」
シーグフリードが厳かにつぶやく。
皆は一斉に注目を向ける。なおも言葉が続く。
「ブリューヌ国ネメタクム出身……その祖先は後名『ライトメリッツ』の豪族……維新派『テナルディエ』一族」
ヴァレンティナもまた、シーグフリードに視線を向けている。彼の推測力を見ておきたいがために――
「『テナルディエ』の一族はかつて、ジスタート統一戦争に最後まで抗い続けた勢力。過去に黒竜の化身が手にかけた政策を唯一知るのは、最もテナルディエを台頭している『フェリックス』のみ」
黒竜の化身が手にかけた政策、その言葉が出た時、ヴィクトール王の顔がかすかに歪む。
「彼が生きたまま新時代を迎えれば、今のブリューヌとジスタートは根底から覆ることは必須」
それは、ある一文を読み解いたシーグフリードの解釈だった。
すなわち――――ブリューヌ・ジスタート転覆計画
「王政府達は弱みに付け込まれ、『西』は一匹の獅子に弄ばれるだろうな。」
そしてシーグフリードは末端の一文を目で追っていく。それは、初代テナルディエに下した黒竜の化身が行った処刑方法だった。
「……『炎の甲冑』……か」
炎の甲冑とは、炎熱を貪欲なまでにため込んだ鉄の鎧たちを、罪人にかぶせる処刑方法だ。たいていの者ならカブトを被る前に、激痛で精神と肉体組織を焼かれるので息絶えるのだが、テナルディエはカブトまでかぶりおおせて絶命したと聞いている。
さらに、戦姫の『竜技』たる最強の『爪』を喰らわせたというのに――
――大気ごと薙ぎ払え=レイ・アドモス――
自分の愛した妻の手によって殺される。体と心を『爪』によって引き裂かれ――
「それでも、ヤツは生きていたというのか?」
オーガスタスは戦慄を込
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