暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
提督式・ニンジン克服プログラム その1
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誰かしらが見かねて起こしてくれるのだが、今日は誰も起こしてくれなかった。

「あら暁姉、おはよう……って時間でもないわね」

 目を擦りながら起きてきた暁を見て、雷が声をかけてきた。

「おはよぉ〜……っていうか、起こしてよぉ!」

「姉さんは一人前のレディなんだろ?それなら自力で起きるのが正しいと思うけどね」

「なのです……」

 起こしてくれなかった薄情な妹達に文句をついてみるものの、それ以上の正論で論破されてしまった。言い負かされてぐぬぬぬ……と唸っていると、ダイニングキッチンのキッチン回りで3人が何か作業をしているのに気付く。

「ん?何してるの?」

「あぁこれ?この間のお花見のビンゴゲームで、ジューサー当てたでしょ?電が」

 あぁ、あれか……と寝惚けた頭でぼんやりと思い出した暁。お花見のビンゴゲーム大会は鎮守府の予算と提督のポケットマネーから賞品のお金が出ている為か、無駄に豪華だったりする。家電やちょっとお高いお酒、間宮券の束、目玉としてバイクや中古だけど車が出ていた事もあったっけ?それで今年は電が高級なジューサーを引き当てていたんだった。他の3人?話に出てこない時点でお察しである。

「それで、使わないのも無駄だし?折角だから毎朝スムージーを作って飲もうと思って」

「スムージー!?それって、キレイなモデルさんとか女優さんとかが飲んでるヤツよね!とってもレディっぽいわ!」

「姉さん、安心してくれ。ちゃんと4人分作ってるから」

「暁お姉ちゃんはまず、お顔を洗って寝癖を直してきた方がいいと思うのです」

 電に顔が寝起きのままだと指摘され、顔を真っ赤にしながら洗面所に駆け込んでいった暁。

「……行ったわね?」

「あぁ、大丈夫だ」

「さぁ、早く仕上げるのです!」

 暁の分があるのも当然だ。何しろ、暁に飲ませる為に作っているのだから。

STEP1:まずは味を感じさせず、食べられたという実績を作る!

〜昨夜:『Bar Admiral』にて〜

「スムージー……ですか?」

「そうだ。まずは人参独特の味と香りを感じさせないように料理を作り、人参を知らず知らずの内に食わせる」

「そ、それは雷ちゃんも試したのです!ハンバーグに刻んで入れてみたりしたのですが、暁お姉ちゃんは気付いてしまって……」

「あ〜すまん。言葉が足りなかったな。慣らすにはまず人参が入っていると思えない物に紛れ込ませるんだ」

 提督の狙いはそこにあった。お菓子やジュース等、暁が好んでいて、且つ人参が入る可能性が低そうな物に人参を入れ、気付かせずに食べさせる。それで慣らした上で次の段階に移る。食べ物の好き嫌いを直すのは長期戦なのだ。

「まずは人参入りのスムージーだ。
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