ガンダムW
1717話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
……ここが海中であった事を思い出す。
ダイビングスーツを着ている以上、耳を押さえるなんて真似は当然出来る筈がない。
そして腕を動かした衝撃で、貝の中に入れていた手は貝の中身に触れてしまい……次の瞬間、パックリと貝の口がしまる。
もっとも、ギロチンの如き鋭さという訳でもないので、特に痛みの類はない。
だが、貝の閉まった口は、俺を離す様子を見せない。
ちっ、しくじったな。
『ちょっ、大丈夫かよ!?』
「ああ、大丈夫だ。そもそも、デュオが声を掛けなきゃこんな事にはなってなかったんだけどな」
特に俺が痛みの類を感じていないというのが分かったのだろう。
デュオが安堵したように溜息を吐く声が聞こえてくる。
『いや、それは……だって、貝の中にいきなり腕を入れてるんだぜ? 驚くのは当然だと思うけどな』
「それは否定出来ないな」
実際、俺だってデュオとかが貝の中に手を入れているような光景を目にすれば、驚いて声を掛けてしまうだろう。
そして結果的に、今の俺と同じような状況になる。
『って、おいアクセル。本当に大丈夫なのか? こうして見てる限りだと、思いっきり口が閉まってるけど』
「ああ、問題ない。痛みの類もないしな 」
実際、もし今の俺と同じような状況になっているのが普通の人間なら、痛みで悲鳴を上げている可能性も十分にあるだろう。
だが……俺を相手にこの程度でどうにかなる筈もない。
「そうだな、ずっとこのままだと色々と不味いか。……ああ、思い出した」
そこまで言って、今更ながらに思い出す。
この大シャコ貝という貝は、こうして口を開いている状況でスキューバダイビングやら素潜りやらをしている奴が手を入れ、結果として俺と同じような状況になるのはそこまで珍しい事じゃないらしい。
で、これだけの大きさの貝だけに、当然重量もそれなりのものであり……つまり、潜っている状況では一人でどうにも出来なくなるらしい。
最終的にはナイフで腕を切断して生き延びた奴とかもいるらしいと言えば、この大シャコ貝の危険性も理解出来るだろう。
ただ、同時にこの大シャコ貝は料理の素材としてもかなりの上物だったりする。
味も美味く、この大きさだけに食べ応えという面でも問題はない。
……うん、つまりこの大シャコ貝は俺に食われたい訳だな。
確かドリアンとこの大シャコ貝を使った料理があったらしいから、ホテルの料理長辺りに頼めば作って貰えるか?
『おい、アクセル。お前本当に大丈夫か? このままだと……』
「ん? ああ、別に心配はいらない。このまま海上まで行く事も出来るし、何なら……」
そう告げ、貝に飲み込まれている右手ではなく、左手で貝の外側の部分を掴む。
そして力を入れていき……すると
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ