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レーヴァティン
第九話 別れその六

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「その場合は」
「ああ、そんな連中だったらな」
「民衆も苦しめているな」
「確実にそうだからな」
 それだからこそとだ、久志もすぐに答えた。
「そんな奴蹴落として追い出してもな」
「何も思わないな」
「むしろそんな奴が領主だとな」
「それこそだな」
「来るしむのは民の人達だからな」
 彼等が治めているその領地のというのだ。
「だからな」
「乗っ取って追い出すべきだ」
「むしろそうだな」
「そうなるな」
「そうだよな」
「だからだ」
 英雄はまた久志に言った。
「そうした奴が領主でだ」
「いい場所にあればか」
「最初にだ」
「乗っ取るべきか」
「そうしてもいいだろう」
「そういうものか」
「悪人から奪い取れ」
 善人や弱い者からではなく、というのだ。
「それが出来たらな」
「何か時代劇とかアーサー王みたいな話だな」
「実際にそうした世界に近い様だしな」
 統一された強力な政府がなく戦乱の中にあるからだ、そうした状況ではどうしてもならず者が権力の座にあったりすることが多くなる。暴力で弱い者を虐げてだ。
「それならだ」
「そうしたこともありか」
「そうだ」
「まあ悪人倒すならな」
「御前も抵抗がないな」
「ああ」
 実際にとだ、久志も答えた。
「今話したみたいなレベルの奴だとな」
「容赦なくだな」
「叩き斬れる自信があるぜ」
 まさにというのだ。
「俺はそういう屑の人権とか知ったことじゃないしな」
「屑の人権は不要か」
「元々この世界は俺達の本来の世界より人権意識がないみたいだしな」
「そうだな、ないな」
 英雄もそれは見ていた、この世界の人権意識を。
「俺達の世界、いや日本よりもな」
「そうした感覚ないよな」
「命の価値も希薄だ」
 そちらもというのだ。
「術で蘇ることも出来るしな」
「そのこともあってだな」
「この世界は人権意識が希薄だ」
「だから悪党をぶっ殺してもか」
「俺達の世界の様に言われることもな」
「それならだよな」
「御前がそうしたいならそうしろ、俺もだ」
 かく言う英雄もとだ、彼は久志に自分の考えを話した。
「そうした奴はだ」
「叩き斬ってか」
「その座を奪い取ってだ」
「そっちの島の統一に使うか」
「そうする」
 こう言ってだ、英雄は木のジョッキの中にあるワインを一気に飲んだ。ワインの味だけでなくアルコールの感覚も感じつつ飲んだ。
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