26部分:第三話 関羽、趙雲と死地に赴くのことその一
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第三話 関羽、趙雲と死地に赴くのことその一
第三話 関羽、趙雲と死地に赴くのこと
関羽達の旅は北に向かっていた。当然張飛とナコルルも一緒である。
歌っているのは張飛である。実に朗らかに歌っている。
その彼女にだ。後ろにいる関羽が問う。
「おい鈴々」
「どうしたのだ?」
「何故そんなに大声で歌うんだ?」
彼女が問うのはこのことだった。一行は林の中を進んでいる。
「それはどうしてなんだ?」
「熊や豹が来ないようにする為なのだ」
「それでなのか」
「そうなのだ。獣は何処から来るかわからないのだ」
こう言うのである。
「だからこうして大声で歌って近寄らせないのだ」
「成程、そうだったのですね」
ナコルルはそれを聞いて頷くのだった。
「けれど動物達なら」
「どうしたのだ?」
「何の心配はいりませんけれど」
これがナコルルの言葉だった。
「本当に」
「どうしていらないのだ?」
「動物達は私にとって家族です」
微笑んでの言葉だった。
「ですから」
「大丈夫なのだ?それで」
「はい、そうです」
そして実際にだ。周りに次から次に動物達が集まって来る。その中には熊や狼、豹、それに虎といった生き物達が集まってきていた。
「皆何の心配もいりません」
「そうなのか?」
「そうです。ですから御安心下さい」
また言うナコルルだった。
「動物達は」
「そうか。それは有り難いな」
関羽はナコルルのその言葉を聞いて頷いた。
「ナコルルがいてくれてそうした心配はしなくて済む」
「動物達にも心があります」
ナコルルは穏やかに微笑んでいる。
「ですから」
「鈴々も動物は大好きなのだ」
それは彼女もだという。
「けれど山道は危ないのだ。だからこうして歌っているのだ」
「余計な闘いをしなくていいしな」
「そうなのだ。動物達とはできるだけ戦いたくないのだ」
これは張飛の本音だ。
「悪い奴と戦うのならともかく」
「そうですね。ところで」
ここでまた言うナコルルだった。
「私達はこれから何処に」
「幽州の州都に行く」
そうするというのである。
「そこにだ」
「州都にですか」
「そうだ。そこに行く」
関羽はこうナコルルに話す。そのうえで彼女達は今は林の中を進む。そうしてその州都に辿り着くとであった。門の兵士達に呼び止められたのだ。
「待て」
「何だ?」
「黒髪の美女か」
「私のことか」
「いや、もう一人いるのか」
こう関羽に対して言ってきたのである。
「二人いるとは思わなかったな」
「それか」
「私ですか?」
「そうだ。二人か」
また言う兵士だった。
「これはまたな」
「ううむ、私とナコルルは外見は全く違うが
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