第9話 また会えた
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司令官その子は?」
吹雪は黒井が抱き抱えた少女を見て聞いた。
「こいつは俺の仲間だ」
そう言って黒井は鎮守府に帰還した。
ーーー鎮守府ーーー
黒井は駆逐艦の少女が目覚めるまで食堂で天道の作った麻婆豆腐を食べていた。
「司令官」
黒井の名を呼んだのは吹雪だった。
「どうした?」
黒井は麻婆豆腐を全て食べ終えて吹雪を見た。
「あの、司令官はあの子を知ってるんですか?」
吹雪は黒井に聞いた。
「ああ、あいつに最期に会ったのはもう10年ぐらい前だ」
そう言って黒井はポケットから1枚の写真を取り出した。
「これは?」
吹雪は渡された写真には黒井とあの艦娘が笑顔で一緒に写っている写真だった。
「あいつはある町で化け物だと言われて虐待を受けていた」
黒井はそう言ってあの駆逐艦との出会った日を思い出していた。
ーーー10年前ーーー
黒井は北海道で町をトライサイクロンで走っていると一人の少女が何かを盗み走り出していた。
「待ちやがれ!」
少女を追いかける果物屋のおやじは片手に鉈を持っていた。
ーーー裏路地ーーー
少女は疲れたのか地面に座りリンゴを食べていた。
「見つけたぜ!」
そう店のおやじは鉈を片手に持ちながら少女の髪を掴んだ。
「痛い!離して!」
少女は涙を流しながら言った。
「黙りやがれ!店の物を盗んだ罰だ!足を切り落としてやる!」
そうおやじは鉈を少女の足に近づけて言った。
「ひっ!」
少女は涙目でブルブル奮えていた。
「それぐらいでいいだろ!」
おやじの腕を誰かが掴んだ。
それは黒井響一郎だった。
「何だ!あんたは?邪魔すんじゃねえ!このガキは何回も店の物を盗んだガキだぞ!罰を与えないといけないんだよ!」
おやじはそう言って鉈を力一杯降り下ろした。
バキィン!
トスッ
鉈の刃が折れて地面に突き刺さった。
「えっ?」
少女を助けたのは黒井だった。
「な、な、な、何だ!あんたは?」
そうおやじは黒井に聞いた。
「さぁな、とりあえずこれで手を打たないか」
黒井は片手に持っていた茶封筒から一万円札×200枚をおやじに渡した。
「あ、ああ!毎度あり!」
そう言っておやじは走り出した。
黒井は腕をコキコキ鳴らしてトライサイクロンに乗ろうとした。
「あ、あの!」
黒井に声を掛けたのはリンゴ泥棒の少女だった。
「何だ?まだ居たのか?」
黒井はそう言って少女を見た。
「あの、私も一緒に連れていって下さい!」
少女は黒井にそう言った。
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