第47話 甘くて苦いコーヒー
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油を大量に使った料理はしない。唐揚げや天ぷらなどが例として挙げられるが、そもそも母さんも油っこいのを苦手としているために自然と油っこい料理を避けるようになっていったのだ。
つまり、油処理に手慣れていない。
「とりあえず、キッチンペーパーで軽く拭いておくか」
ガタゴト、とキッチンの戸棚を漁ってキッチンペーパーを探す。真姫の別荘なのだから無いものは無いという思い込みが、キッチンペーパー発見まで至らせてくれなかった。
「マジかよ無いんすか......おーい真姫ー!出てこーい!」
別荘全体に届くように大声で叫ぶ。真姫じゃない誰かの声......これは凛の声だろうか?、が悪ふざけで反応してきた。しばらく経ってもやって来る気配がしないので、仕方無くまた黙々と探索を続ける。
「そりゃそうか。真姫はもう少しかかるとか言ってたもんな」
真姫グループは作曲担当で、同メンバーのにこと絵里は夕飯と食べ終えた後すぐに自分たちが設営したというテントに戻っていったのだ。いい感じになってきているが、まだみんなに聴かせられるレベルではないとのこと。ある程度出来上がり、一人で充分なんとかなると言って部屋にこもることりと海未以外はリビングでぐでーっとしている。
「暇なら手伝えよ」
しかし、俺がするといった手前言いづらい。
はぁっとこぼしたため息はいつもより長い気がした。しかし、愚痴ったりぼうっとしているわけにもいかない。次の仕事もあるのだから早く終わらせる必要がある。
「やっほ〜お仕事頑張ってる〜?」
「……能天気に達観してるなら少しは手伝ってくれよ穂乃果」
案の定穂乃果は俺の側にとてとてとやって来てはちょっかいをかけ始めてきた。最近やたら俺の隣をちょこまかしているなと、なぜこうなったのかは言うまでもない。
「ん〜まぁこっちだけなら手伝うよ」
「こっちって……お前それは手伝うとは言わない。なんならそこの皿洗ってくれよ」
「え〜!でも自動の食器洗いってあるんじゃないの?」
穂乃果にそう言われてはっとする。
言われるまで失念していた。そう、真姫の別荘なのだからあってもおかしくは無い某Pa〇〇sonicの自動食器洗い機。真姫の別荘ならあってもおかしくないだろう。穂乃果に言われてすぐさまキッチンの引き出しを片っ端から開ける。
一番奥に、ソレはあった。
『うっわ……なんじゃこりゃ』と、人生初の自動食器洗い機に感嘆の声が漏れる。使用頻度は少ないせいか、きらりんと輝くステンレス製の棒が使おうという気持ちを削いでいく。
「(これ、使っていいのか!?)」
一つ設置するのにどれくらいかかるのか俺は知らない。だけど、一般家庭の自動食器洗い機よりも遥
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