最終章
1節―超常決戦―
幕は上がる
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巨大”。
だから、そこに視線を誘導させ潜り込むことが出来るのだ。
さも当然かのように、ガブリエルの懐に侵入したルリが振り抜くは銅色の鎌。
架空であった鉱石、アダマスを使い作り上げた鎌は正に“一撃必殺”であり逃れることは出来ない。
それが“熾天使”でなければ。
振り抜かれたアダマスの鎌にあわせ、ガブリエルは咄嗟に障壁を発生させる。
一瞬で破壊される障壁だが、その一瞬さえあればこの場からの離脱など熾天使には簡単なことだった。
けれど、それで良い。
「…すみません、逃してしまいました」
「いや、大丈夫だぜ。地の利は取れたからな」
申し訳なさそうに表情を暗くしながらアダマスの鎌を消滅させるルリを、後から追いついたナミルは肩を叩いて笑って見せた。
先ほどの鎌は、ルリの“地神の偽力”によって出来上がった『神技』である。
ルビやエレンのものとは違い、ルリの『神技』は一撃必殺を主としたもの。
目立たないし、一目で威力がわかるわけではないが、それでも“一撃必殺”はかなり強力と言っていいだろう。
「けっ、ガブリエルの奴は本当に護ることしか能ねぇのな」
「確かにあれは私の落ち度ですが、何もしていない貴方に言われたくはありませんね」
ガブリエルと真反対、その方向から現れるのはもう一人の熾天使。
その容姿は天使らしく異常に整っている、いるのだが…異常に“駄々草”だ。
ボサボサの髪によれよれの服、心なしか金輪も鈍く光っている気がするほどなのだから、凄まじい。
けれど、その金輪が示す数でルリとナミルは警戒度を引き上げる。
「貴方も熾天使…ということは、貴方がラファエルですか」
「ん?おうよ、俺ァ熾天使が1人…“神の癒し”だ」
こんな駄々草な格好をした男が“神の癒し”を名乗っても良いのだろうかと、本気でルリとナミルは思う。
それほどにこの男の格好は酷かった。
「ま、そんなのどうでも良いだろ」
「――――?」
ラファエルはそう言って、自らの右手を首に当てて…“嗤う”。
「“癒してやるよ”、ル――」
「――『偽・全て射り別つ森神の一撃』!!」
唐突に放たれた凄まじい量の魔力で出来た矢が、何かを言い切ろうとしたラファエルに襲い掛かる。
避けることもしなかったラファエルは、その絨毯攻撃をまともに受けた。
先ほどの絨毯攻撃は、“森神の偽力”を与えられたエミアによるものだろう。
一が十に、十が百に、百が千に別ち無差別に範囲攻撃を行う。
それがエミアの『神技』だったのだ。
「“癒せ”、ラファエル」
しかし、あれほどの密度の攻撃を受けてなお熾天使は倒れない
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