暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
1節―超常決戦―
幕は上がる
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》』――!」

 エレンの雷を帯びた剣から放たれたのは、極光の波。
 正に“全てを飲み込まんとする”雷電の塊であり、その光はもう目にするのも難しい。

 ルビの右の籠手から放たれるのは6属性全てを1つに混ぜ込んだ波動。
 触れる地面、空気その全てが原子レベルに分解し溶解、または結晶化して消えてゆく。

 当然、その両方に見舞われた天使たちはひとたまりもない。
 叫び声すら上げる事が敵わず、その多くは飲み込まれようと――

「…やはり、こう来るのですね」

 ――するのを、誰かが“2つの破壊を”受け止める。

 一目で受け止めたのが誰なのか、ソウヤには分かった。
 金輪を6つ鳴らし攻撃を受け止める美麗な女性を、一言で表すのなら“百合の花”だろう。

「ですが(わたくし)…熾天使が1人、“楽園の護り手(ガブリエル)”がある限り全滅はありえないのです」

 有名な熾天使4人、そのうちの1人であるガブリエル。
 それが天使たちを攻撃から守り切っていた。

 ―…“神の言葉(ガブリエル)”ではなく、“楽園の護り手(ガブリエル)”か。

 神話の多くではガブリエルは神の言葉を人に伝える、いわゆるメッセンジャーを務めていたのだが、どうにもこのガブリエルは違うらしい。
 つまりは“エデンを護る天使”としてのガブリエルなのだろう、あれは。

 確かに最大にして最高の一撃は防がれた。
 奇襲もほぼ失敗といっていいだろう。
 だが、それも“予想通り”だ。

「頼むぞ、皆」

 走るための最適な格好をしていたソウヤは、そう言うと脚に力を込め上体を深く下げる。
 そして走るまでの刹那の間に、呟いた。

「“拒否する”」

 “すべて拒否する力(人間)”を行使し、ソウヤは自身を縛り付ける重力、空気摩擦度などの物理演算をカット。
 地形のことを考えず、ただ数字上可能でしかなかった速度をソウヤは往く。

 それは“光速を越える”速度。

 音も無く、光も無く、地面を蹴った感触も無く、匂いも無い。
 ただ、今ある最大限の速度を一直線に走るだけで良い。
 それで良いようにライトが“計算してある”。

「――――」

 熾天使たちにさえ理解できぬほどの速度でソウヤは戦場を駆け、息を吐く暇すらない間に“神門”へと突入した。

 そう、入るだけなら“簡単”。
 けれどそこに“神門の防衛”が入って来るからこそ、ルビとエレンにあんな面倒なことをしたのだ。
 全ては“神門の防衛”へとつなげるため。

「――『偽・全て切り(アダマス)()く地神の一撃(フェイクション)』」
「ッ…!?」

 ルビとエレンが放った一撃、それは最も一撃の威力が高く“それ故に誰からもわかるほど
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